第21話 チュートリアル
<称号『チュートリアル。時間が止まっている間に、おっちゃんを助けましょう』を獲得しました[1]>
いや、良いからはよ動かせや。
<称号『悪い奴の剣を、弾いて下さい』を獲得しました[1]>
いや、時間止まってるよね?
カン
おっちゃんに斬り掛かっている剣を弾くと、黄色い光の矢印が伸びる。
ん?
<称号『時間が止まっている間に行った攻撃は、蓄積され、解除された瞬間にまとめて発動します』を獲得しました[1]>
そういうものなのか。
<称号『何度か斬りつけて下さい』を獲得しました[1]>
カンッ
カンッ
斬りつける。
斬りつける度に、光の矢印が伸びる。
方向は、最後に斬りつけた方向へと変わるようだ。
<称号『離れて下さい』を獲得しました[1]>
数歩下がり、
<称号『そして世界は動き出す』を獲得しました[1]>
ガキイイイイイン
凄まじい音を立て、悪漢が吹き飛ぶ。
おっちゃんは、神速の動きで剣を構え──呆然とする。
「あんた……あんたが助けてくれたのか?」
「余計なお世話だったようだがな」
文字通り。
今のおっちゃんの動き、完全に対応できただろ。
余計な事させられた。
<称号『今の操作を覚えておいて下さい。爆弾、磁石、氷とあわせ、基本となるテクニックです』を獲得しました[1]>
爆弾も磁石も氷も知らないし、世界が止まる事がまずねえよ。
この世界の基準は知らんが、お前、一体何したんだよ。
<称号『何って……時を止めただけだが?』を獲得しました[1]>
だけじゃねえんだよ。
<称号『え、私また何かやっちゃいました?』を獲得しました[1]>
そうだよ。
とんでもない事したよ。
「それより、これは一体?」
「……知らないのか?王政に反発する革命グループが2つ……遂に蜂起、軍がその鎮圧に動き……どちらにもつかなかったギルドは、王国側と見なされ、攻撃の対象に」
「おいおい……」
「革命軍は、市民からの略奪、お互いに攻撃も……もはや、野盗と変わらん。ギルドとしては、不本意ながら、革命軍の鎮圧に動くべきか……それに……」
おっちゃんは、溜め息をつくと、
「王国軍は、まだ虎の子を隠している。あれが投入されれば、革命軍はひとたまりもなかろう」
「異世界召喚者、か」
「……流石だな。知っているのか」
俺もその一人だからな。
だが。
「そうは上手く運ばないさ。何時までも支配に甘んじる連中ではない。市民の生活を豊かにし……市民が革命を行う余地を与え……市民に優秀な農具や武器……兵士と戦う武器を与え。支配の呪縛からも、早晩逃れるだろう。王家の崩壊は、近い」
あいつらを舐め過ぎだ。
近くでずっと見てきた、被害者たる俺が言うのだ。
間違い無い。
何がスーパー高校生だ。
あいつらのせいで、俺まで色眼鏡で見られていた。
俺は一般人だ。
「隷属の首輪を自力で解除だと……?有り得ない筈だが……」
おっちゃんが小首を傾げ。
「やるよ。あいつらなら、な」
「ギルドマスター、大変です!」
強そうなにいちゃんが駆け込んで来る。
「どうした、ゲイル?」
おっちゃんが尋ねる。
あれ、ひょっとして、おっちゃんってギルドマスター?
「王宮が、陥落しました。例の連中が、隷属を自力で解除して、制圧したようです」
「……なるほど、お前さんの言った通りか……」
おっちゃんは、俺を見てそう言うと、
「革命は成った。市民の保護と治療を急げ。ギルドは市民の味方をする。手を取り合うならよし、内戦になるなら被害が最小限となる所を支援するぞ」
おっちゃんが指示を出し、
「いや、王族討った奴らに任せると良いよ。全て計算済だと思う」
「ふむ……?分かった。ギルドは、異世界来訪者達につく。早急に連絡を取れ」
「はい!」
急転直下。
グロリアスの王族、貴族は、この日歴史が終わった。
正義感が強い奴ら、そして基本思想は民主主義……
ならば、王侯貴族の処刑、そして議会の開設。
近代、いや、
この国は、
街は喧騒や怒号、悲鳴や嗚咽が響き。
まあ、マイホーム買ったり、のんびり仲間募ってダンジョンに行く状況では無い。
のんびり、筋トレの続きでもしよう。
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