第18話 スフィンクスの門

「トラップ、スフィンクスの門!」


両脇に、巨大なスフィンクスが現れる。

相手がクイズに間違えなければならないが、その威力は絶大。


ちょうど、マッドボアが、駆けて来る。


「汝に問う……1足すな……1は、幾らなりや?」


マッドボアは、ふんふん、と鼻を鳴らすと、蹄で地面に線を2本引く。


ジュッ


スフィンクスの目から放たれた光が、マッドボアを焼く。


「答えは1なり。1足すな、と言ったであろう」


スフィンクスが消えていく。


マッドボアの様な知能が無い魔物で助かった。

簡単な問題しか出さないので、実用性が疑わしいのが正直なところ。


そろそろ……街に行くか。

半年経ったんだ、大丈夫だろう。


#########################


名前:多村たむら火鷹ほだか

レベル:29

 STR:F

 VIT:F

 DEX:F

 AGI:F

 MAG:F

 MEN:F

AS:

 [ 道具作成 Lv.161 ]

 [ 鑑定 Lv.244 ]

 [ 空間収納 Lv.331 ]

 [ 水属性魔法 Lv.121 ]

 ❲ 火属性魔法 Lv.58 ❳

 ❲ 罠設置 Lv.541 ❳

 ❲ 罠解除 Lv.530 ❳

 [[ MAP Lv.21 ]]

PS:

 [ 剣修練 Lv.52 ]

 [ MP回復強化 Lv.274 ]

 [ 最大MP強化 Lv.281 ]

 [ 感知 Lv.381 ]

 ❲ 聖剣 Lv.14 ❳

 ❲ 聖鎧 Lv.9 ❳

 ❲ 罠発見 Lv.589 ❳

 [[ 天才錬金術師 ]]

 [[ 業罠師 ]]

リザーブ:

 精錬 Lv.120、薬品調合 Lv.533

装備:

 鋼の剣

 木の盾

 鎖帷子

SP:83 [全調合レシピ辞典]

称号:

 おっぱい


#########################


--


街は、潤っている様に見える。

少なくとも、悲壮感は無い。


だが、謎の緊張感が漂っている。


街では、見慣れた日本の品が並ぶ様になっていた。

それとなく聞いてみると、王家から色々情報が出回ったらしい。

多分、クラスメートだろうな。

文化の侵略者ってやつか。


ジェラルミンの武具とか売ってないかな。

ミスリル製は手が出ない。


酒場ヘ着く。


「おお、あんたか。久し振りだな」


「ああ、ちょっと……骨が折れたよ」


思わせ振りな発言をして、誤魔化しておく。


「薬は、役に立ったよ……こんな状況になるとは思って無かったがな……」


おっちゃんが渋い声で言う。

どんな状況だよ。


ずしり


金貨が詰まった袋を……おや?

見た事が無い通貨。

そうだよな、これ全部金貨なら、えらい額だよな。


「これは、何枚で金貨1枚分なんだ?」


「……おいおい、神聖銀貨は、金貨千枚だぞ?」


えらい額だった。

ギルド大丈夫?


ミスリル装備や、マイホームが買えるな。


「マスター、考えてくれたか?」


不意に、厳ついおっちゃんが割り込んで来る。

おっちゃん、酒場のマスターやってたのか?


「何度も言うが、ギルドは中立だ。どちらにもつかん」


何だかきな臭い空気。

帰ろうかな。


<称号『のばら、です』を獲得しました[1]>


「のばら?」


「……あんた、同志か。見ない顔だが、あんたからも説得してくれ」

「お前さん、そっち側なのか?」


俺が思わず口に出した単語に。

おっちゃんずが、同時に驚いた声を出す。

何かの合言葉?


「俺は、属さない。それに……取り返しがつかない事になるぞ。別の道を探すべきだ」


思わせ振りな事を言い、誤魔化す。


「貴様……俺はな、娘を……娘は……」


割り込んで来たおっちゃんは、殺意を込めた目で俺を睨み、去って行く。

こええ。

ちびるかと思った。


「やはり、静観が正解なのか……できれば、俺達にも、教えて欲しいんだが……いや、どうすれば良いか教えてくれれば、何も聞かず協力はするぞ?」


いや、状況を教えて欲しいのは俺なんだが。


「マスター!」


綺麗なねーちゃんが入ってくる。

またのばら?


「またか……うちは、どちらにも不干渉だぞ」


「どうして?!今のままじゃいけないのは、貴方も分かっているのでしょ?!」


<称号『んぐんまぐまーま、です』を獲得しました[1]>


「んぐんまぐまーま?」


「あら、貴方もうちなのね」

「お前さん、何故?!」


おっちゃんとねーちゃんが声を上げる。

また合言葉かよ。


誤魔化すか。


「争いは、何も産まない。聞こえないか?世界が、悲しんでいる。あいつらは、計画の最終段階……このままでは……」


さっきから、厨二病が過ぎるな。

そして、これ、意外と楽しいな。


「馬鹿にしてるの?!争いを否定……そんな綺麗事を言えるって事は、貴方はさぞ幸せな人生を歩んできたんでしょうね。まさか……貴方、貴族なの?!」


「俺は、ただの始末屋さ。あんたらが招いた悲劇の、な」


「……また馬鹿にしてっ」


女性は、怒って去って行く。


「俺に……ギルドにできる事は有るのか?」


おっちゃんが尋ねる。

知らんよ。


「砂漠の流砂を、手で押し止める事はできない。だが、流される者を助けたり、破壊された物を再建する事はできる。今は、冷静であればそれが唯一の救いだよ」


「……分かった」


分かったの?!


さて……


あぶく銭が入ったから、マイホームやミスリル装備を買おうと思ったが。

なんか面倒そうだから、また街を離れるか。

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