第15話 お金があれば別荘を買えますよ
「おう、あんたか。有難うな」
何故かおっちゃんに感謝された。
「いやあ、あの娘──アンリちゃんを助ける為、念の為、SランクPTを2つ派遣したんだが。ゴブリンキングに、ゴブリンシャーマンが複数……凄まじい事態になってたよ。アレに気付けない程、我が国の目は節穴になってるんだな……」
怨嗟すら込めた声で、おっちゃんが呟く。
やはり罠だったか。
ハニートラップに引っ掛かっていたら、死ぬところだった。
「国からの支援は無かったから、ギルドからの持ち出しになってしまったが……この国に住まう者として、胸を張れる事はした」
しかも無報酬になるところだった。
「アンリちゃん、そして、その幼馴染達は、皆、才能溢れる娘で……将来が楽しみだ。新人の中ではトップクラスの伸び率。みんなに良い影響を与えている」
才能、か。
クラスの奴らはどうしているんだろうな。
王女が歓喜してたから、勇者とか賢者とか聖女とか、色々いたんだろうけど。
「俺ではそちらには手が回らなかった。勝ち取ったのは皆さんだ。俺は関係ないよ」
他の用事で忙しかった感を出しておく。
サボっていたとかバレたら、感じが悪い。
「それより、おっちゃん。これの買い取りお願いできるか?」
コトコト
効果の低い物や、作り過ぎた物……余ったポーションを、人目につかない場所に並べていく。
「これは?」
「ごめん、詮索はしないで欲しい」
密造がバレたらやばいかも知れない。
「ふむ……俺では価値が判断できんな。カロンの奴を呼んで来るか」
「頼む。俺は、依頼を見ている」
さて……手軽な依頼は……お、これは。
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「おい、鑑定が終わったぞ」
おっちゃんに声をかけられ、別室に連れ込まれる。
若い、白髪の青年が困惑した顔で、
「ギルドマスターから話は聞いた。詮索はせぬ。だが、これだけの神薬をギルドに納入する、その意図を聞いても宜しいかの?」
ギルドマスター、いつの間に出てきた。
会ったこともねえよ。
それより、これは……効果は鑑定済だから、粗悪品では無い筈。
違法物を疑われた……?
「無理に聞き出したい訳じゃない。だが、ゴブリンロードの様な事があるなら、予め情報が欲しいんだ」
おっちゃんが、控え目に言う。
いや、作り過ぎて余ったから買い取って欲しいだけですよ?
……そうか。
額が額だけに、ギルド資金が厳しいのか。
ゴブリン退治も、ギルド資金持ち出しと言っていたし。
……ならば。
「おっちゃん。買い取り価格は、金貨10枚程度でも良い。引き取ってくれればそれで」
「……やはり、うちにこれを納入するのが目的。これがなければ乗り切れない何かが……」
おっちゃんが慄く。
何でやねん。
「金貨10枚じゃと……?これだけでも金貨一千枚は下るまい……」
鑑定だと100枚程度なんだが、表示されるのは末端価格なのかな。
まあ直近お金に困ってないしな。
<称号『お金があれば別荘を買えますよ』を獲得しました[1]>
本宅も無いんだけど。
<称号『お金があればマイホームを買えますよ』を獲得しました[1]>
それは魅力的だね。
<称号『マイホームを自動改築設定にすれば、どんどんローンを組んでグレードアップしてくれますよ』を獲得しました[1]>
どっかの無人島かよ。
自動設定有るのか?
<称号『持ち寄って一つの家で遊ぶのが楽しそうですよね。一人だけ親友設定されていないとかまじウケる』を獲得しました[1]>
親友設定してやれよ。
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