2話 PK
「可愛いね嬢ちゃん」
「初心者?俺達が色々と教えてあげるよ」
「ええと」
何この状況!?
確か、この『クリエイトオンライン』を始めて、初期設定とかチュートリアルをして、リュウ君を探してうろうろしてたらこの人達に声掛けられて・・・。
はは、まずいかも。
「おーい。スズ」
私がどうしようかと悩んでいると聞き覚えのある声が聞こえた。
「リュウ君!」
一緒にこのゲームで遊ぼうとしていた幼馴染みだ。
「誰だよお前」
「ちっ」
「もういい、さっさと死ね」
男達の中でも一際大きな男が私に向かって剣を振り下ろして来た。
「きゃ」
私は思わず目を瞑る。だけど痛みも何も感じない。恐る恐る目を開けるとリュウ君と目が合った。顔が近い。よく見るとリュウ君に抱きかかえられていた。
「大丈夫かスズ?」
「う、うん」
恥ずかしさの余り顔を合わせられない。
「思ったよりもやるみたいだな」
そうこうしていると大男が剣を振りこっちに向かってきた。
「≪エアデフェンス≫」
「ぐ」
大男は何も無い場所に剣を突きたてる。
無理と判断したのか大男はバックステップで後退する。
「このゲームではPKは認められているが初心者を相手にするのはちょっと卑怯じゃないのか」
「ふん。知ったことか!≪人狼化≫」
大男は一回り大きくなり、姿が二足歩行の狼の姿に変わる。
「嘘」
人が狼に変わる何て、確かにここは仮想空間だしあり得ない話では無いけども。
「面白い」
リュウ君の方を見ると笑っていた。
「≪竜化:30%≫」
今度はリュウ君までも姿が変化していく。頭にはツノ、背中には羽、お尻には尻尾が生える。
「・・・」
「・・・」
なんだか緊迫した空気が流れる。
「はあ!」
「おら!」
二人とも速くて見切れ無かったけどリュウ君の拳と大男の剣が衝突した。
「てゃ!」
「はぁ!」
二人は拳と剣で凄まじい闘いを繰り広げる。正直、目で追う事も出来ず付いて行けない。
「はぁ、はぁ。この実力とその姿、貴様『ドラゴンマスター』か!」
「ああ、そうだ。何か問題でもあるか?」
「ど、ど、ドラゴンマスター!?」
「嘘だろ!?」
ドラゴンマスター?
良く分からないけどリュウ君を恐れているみたい。
「どうした?もう終わりか?」
「な訳ねーだろ≪狼雷剣≫」
そう叫ぶと大男は剣に雷を這わせリュウ君に斬りかかった。
「≪サンダーフィスト≫」
リュウ君は拳を雷で覆い大男の剣に迎え撃つ。
二人の攻撃が衝突し雷が激しく輝く。
「ぐ」
「っ」
そのまま暫く膠着状態が続く。だけどリュウ君は初めから全力を出していなかったのか突如として力勝負に勝ち、拳を大男に放ったのだ。
大男は拳の威力で数歩後ずさり、消滅した。
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