第1章 仮想世界
1話 待ち合わせ
『クリエイトオンライン』
それは、フルダイブ型のVRMMOの中でも人気のゲームだ。
このゲームはファンタジーな世界観ながらも魔法が存在せず、また他のゲームとは違う所も多い。
例えば、レベルという概念は無く経験値をそのままステータスに反映させる事が出来る。どういう事かと言えば、モンスターなどを倒して得る経験値を消費して攻撃力や防御力などをupさせるのだ。一見するとチートぽいが強化するほど必要経験値が多くなっていくので中盤ぐらいからは二千も三千も経験値を消費して1しかupしなくなってしまう。他にも自然回復力や空腹度などこのゲームにしかないのではないかという仕様はいくつもある。
その中でもスキルのクリエイトは一番他と違う所だろう。
そもそもこのゲームの主軸はスキルだ。戦闘はもちろん、料理や裁縫などの生活面、鍛冶や調合など生産面でもスキルが重要になってくる。
スキルの入手方法はいくつかあり、特定の条件を達成する方法、譲渡や売買といった受け渡し、更にモンスターが結晶化したスキルをドロップする事もある。中にはこれらだけのスキルで満足する人もいるが、やはりほとんどのプレイヤーはスキルのクリエイトを行っている。
方法としては、スキル同士を掛け合わせる方法と欠片を組み合わせる方法がある。
スキル同士を掛け合わせる方法は文字通りだ。
そして、欠片を組み合わせる方法はと言うと、先ずスキルを一度分解する。そうするとスキルは要素ごとに分かれ、その1つ1つを欠片と呼ぶ。それを再び組み合わせる事で世界に1つだけのオリジナルスキルを作る事が出来る。
また、スキルには姿を変える物も有るのだが、それを使う事によって種族選択が人間しかないこのゲームで獣人やエルフなどの人外に成る事も出来る。まぁ、俺も人外に憧れた1人だ。
と、ここまでクリエイトオンラインについて語って来た訳だが、まだ続けないといけないのか?
「遅い」
俺は呟き周りを見回す。クエストなどを行う為に忙しなく行き来する人、俺と同じ様に人を待っている人、様々だ。
そう。俺はこれからこの『クリエイトオンライン』を始める幼馴染みと待ち合わせをしているのだ。このゲームは1年も前に発売を開始しているので今更な気もしないでは無いが、それはまぁ人それぞれだろう。
だが、それにしても遅すぎる。何かあったのだろうか?と思い周りを見渡して見ると、人気の無い路地裏で男数人に囲まれているのを見つけた。
「何やってんだよあいつ」
スキル≪遠視≫を使って見ているので男達に気付かれる事は無いが、初心者相手にあれは無いだろう。
「行くか」
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