過去

『一年生になったら~♪


一年生になったら~♪


友達百人できるかな~♪』


ってこの歌詞誰が考えたんだ。小学校の入学式で歌ったけど、実際入学してみると同級生は100人もいなかった。一学年20数人程の小さな小学校。クラス替えすらない。あれは小5の頃だったかな、好きな娘ができて思い切って告白した。


結果は、、、「ごめんなさい」


見事に振られて玉砕。それはそれで仕方なかったけど問題はその後。20数人の小さな世界、翌日にはクラスの誰もがそれを知っていて、卒業するまでからかわれ続けた。それが人生でした二回の告白のうちの一回だった。


 超弩級の田舎町、中学校に上がってもクラスの顔ぶれが変わることはなかった。好きな子はいた。ただ、どうしても小学校でのあの一件が忘れられず、告白できなかった。掃除の時間にその娘の机をわざわざ選んで運んだり、たまたま日直で一緒になって話したり、いつの間にかそんなことで満足するような恋に臆病な男になっていた。結局その娘もクラス一の人気者、学級委員長と付き合いだしたわけで。そう言えば、


『星の数ほど女はいるが愛した女はお前だけ』


と、とんでもなくきざな告白をして振られた奴もいたっけ。みんな馬鹿にして笑っていたが、俺はちょっと羨ましかった。


 高校では転機がくるはず、、、そう信じていた。一学年20数人から一気に400人。友達百人できそうな雰囲気。しかもひょんなことから学級委員長をすることに。中学校時代に目の当たりにした委員長の絶大な人気。期待は否が応にも高まった。でも何も変わらなかった。まぁそうだろうな、特にリーダーシップがあるわけでもなく、イケメンというわけでも、スポーツや勉強ができるわけでもない。


秋月桜介あきづき おうすけ』、


クラス名簿で一番上にあるという理由で指名されただけ。そりゃあ、変わるはずないよな。結局、小学校時代から俺は何も変わらず、というより、変われないまま、あっという間に三年間が過ぎ、高校生活は終わりを迎えようとしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る