時のカルマン渦

Neneko

プロローグ

カルマン渦

 人生は川を下る小舟のようだ。


川は一本の小さな流れから始まり、徐々に枝分かれし広がっていく。川が分岐する度、舟の進路を選択する。右か、左か、真ん中か、あるいは川の流れに身を任せるか。途中で自分の舟に人を乗せるかどうか、なんてことも決めることができる。逆に他人の舟に乗せてもらったり、もちろん降ろされることだって。選択肢は無限にあるが、共通して言えるのは、選んだ後でいくら悔んでも上流、つまり過去には戻れないということ。そんなところでまでそっくりだ。


でも、本当にそうなのだろうか?


高三の頃、私はクラス担任に本気で質問した。


「時間を遡ることができるのか」と。


すると、先生はこう答えた。


「人生には障害が付き物だろ。お前の言うように人生を川下りに例えるとして、もしその川の流れの中に障害物があったらどうなるか分かるか?


その後ろで『カルマン渦』という渦を巻くんだ。


それに偶然乗れたら、、、僅かだが上流に遡ることができる。


俺は理系の人間だからタイムトリップみたいな夢物語は信じない。でも、もしだ、もし時間の流れの中にもカルマン渦のようなものが存在するなら、大きな壁にぶち当たった時、あるいは…」


そんな意味深な説明され、当時の私はその話を半信半疑で聞いてた。


ただ、あれから十年経った今では信じている。


えっ?なぜかって?


それは――――

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