第27話 小さな支持者たち
翌日、幼稚園に向かう途中に、小学校の前を通りかかった。ちょうど低学年の下校時間である。
「めっちゃ若い!」
「みんなおっちゃんばっかやのに、この人めっちゃ若い!」
子どもたちがワーワー叫びながら寄ってくる。
「それちょうだい!」
二、三人の子どもが僕の振っていた青いリボンを指差した。
「ぼくも」
「わたしにも」
さらに五、六人が集まり、また十人が走り寄る。
渡し終わるまで、車は立ち往生した。
幼稚園の前で車を降りて、若い運動員数人とともに立つ。
「お迎えご苦労様です。よろしくお願いします」
挨拶をしていると、迎えを待つ園児たちが興味津々の顔で集まってきた。
「ゆきちゃんの友達なんか?」
子どもたちが香山さんのことを友達のように呼んでいるのを聞いて、自然と顔がほころんだ。
男の子がひとり、恥ずかしそうに握手を求めてきた。
「ありがとう」
嬉しくて微笑みながら、その子の手を握った。
するとまた、「わたしも」「ぼくも」とみんな一斉に手を出した。
周りは、可愛らしい支持者であふれた。
「倉知は若いから、ぼくは倉知にする」
初めに握手した男の子は、横で手をつなぐお母さんに、大きな声で力説しながら帰っていく。
選挙権は持たないものの、小さな支持者たちの頼もしい応援が、ほんのりと僕の胸を温めた。
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