第22話 選挙カー走る
まず、自分の町内から回り始め、次に近隣の村へ向かった。
そこから西の山際にある村々を走り、いったん市街地を抜けて、市の東側の村部へ到るというのが、初日のコースである。これで大雑把にではあるが、市全域を回ることができる。翌日からは一日目のコースで漏れた場所や駆け足で回った場所を重点的に回り、最終日に市の中心部に戻り、選挙戦を終えることになる。
選挙カーの後部座席には、ウグイス嬢と妹の純子が座っていた。
ウグイス嬢は、バスガイドを二十年以上勤めたベテランである。候補者の名前を力強く、上手に抑揚をつけて繰り返す。その時々に応じて、応援をお願いする言い回しを変える。地区が移れば、町名を入れて、その地区の人に向けて呼びかける。お茶で喉を潤すあいだだけ、純子が交代した。はじめは照れながらであったが、ベテランの喋りを横で聞き、またアドバイスを受けるうちに、段々と上手になっていった。
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