第二章
第二章 二〇一九年十一月三日
待ち合わせは、十三時。その一時間前のこと。四人は、それぞれの気持ちを抱えていた。
前を向こう、とゴミ袋を片手に部屋中を動き回った緋菜。今は素直に、他人の考えを聞いてみよう。そう思っている。
昨日の背伸びした服を片付けて、ただ着たいと思った服を選んだ。ヒールは履かない。スニーカーを履いて行こう。歩きにくさに気を取られてしまわないように。
昌平は、既に待ち合わせ場所にいる。ソワソワ気持ちは落ち着かない。チケットはちゃんと四枚買った。夕べは結局眠れずに、寝不足。それでも眠くはない。アイツにちゃんと謝りたい。それだけをグルグルと考えている。
慣れないことをしてしまった、と文人は思い悩んでいた。昌平を騙すようなことをしてしまったかだらだ。
彼に幸せになってもらいたい。そう思うのは事実だ。ならば、と決心し、シミュレート始める。大丈夫、共犯がいる。そうお守りのように思いながら。
待ち合わせは一時間後。ゆっくり歩いて行こう、と家を出た陽。ちょっとだけ気分が晴れやかだった。
彼らの仲直りを企て、今日そのミッションを終える。緋菜とはまた会うだろうが、それは後輩に会うみたいなもの。今日を終えれば、またいつも通りだ。私の役目は終わりだから。つまらない、くだらない毎日に戻るだけ。
待ち合わせの時間が近付いてくる。そうして、少しずつ、少しずつ。彼らの時間は混じり始めていた――
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