第28話 到着

目的地の都市に着く。


「ありがとうな、リーダー」


「あぁ。二度と会わないように願っておくよ」


「はっ、そりゃ嬉しいねぇ」


お姫様を起こす。


「…あら、もう着いてたのね」


既に俺の格好は戻し、各部位に軽装ではあるが鎧を着けた騎士のような格好だ。


ただ、黒色ではあるけど。


駅に入ろうとすると、門で呼び止められる。


「お兄さん、職業は?」


「あぁ、黒騎士だ。すまないな、こんな怪しい身なりで」


「いやいや、批判したい訳じゃないさ。それより、異端者の騎士か…こりゃ頼もしい、ここで働かないか?」


「ありがとな、気持ちだけ受け取っておくよ。お勤めご苦労様」


駅の構内では、ギルドカードを提示すれば切符が手に入るが…既に切符は予約しているらしい。


さすがだ。


機関車は蒸気機関だな。


個室の中で、ステータスを弄っていく。


といっても、スキルポイントでの強化だけだ。


全部レベルマックスにして、残り33だけ。


まぁこれは取っておこう。


それと…御者から受け取ったギルドカードを見る。


リアム・ボイド…28歳。ジョブは短剣使い、レベルは29に称号は無し。まぁ、至って普通な結果だ。住所は一応書かれてるがどこかは分からん。


こりゃ、使えるな。


…まぁ、使える時が来たら困るが。


「…そのギルドカードは?」


おっと、お姫様に見つかってしまった。


「いんや、ただの拾い物さ」


「…あなたの身柄は私達が持ってるのだから、面倒事は避けてよね」


「その為のこれ、だろ?」


そう言いながら掲げる。


「ま、そういう言い方も出来るわね。…というか、よく生きてる他人のギルドカードなんて…」


「運が良かったものでね」


「ふぅん…。


まぁ、いいわ。それより学園に着いた後の話をしましょうか」


「おぉっ、そういうのが聞きたいな」

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