第27話 話がわかる奴

「じゃ、行きますよ」


馬車に乗せられ、ドナドナされる。


ここから長い旅路になる…ことは無いらしい。


リンデンには鉄道が通ってるらしい。


ただ、それを利用されて首都まで到達されると困るから、首都を囲む用にセンター駅が集中してるとの事だ。


使うのは蒸気機関で、これも転生者の発案でできたそうだ。


「あぁ、わかった」


こんなに早く行くことになったのも、これ以上跡継ぎ争いが酷くなると困るからだそうだ。


暗殺者も送られてきたが、俺が返り討ちにしたしもうあの時とは比べ物にならないくらいヘレティックに鍛えられた。


馬車の中で一応416とG42を装備しておく。


ベストも着け、プロテクターも付けておく。


これで大体特殊部隊、というよりは工作員。あれだ、「ゴースト」みたいな感じにはなった。


通常の服装に装備を着ける。


【器】で生み出すことも出来るが、ベストの中にマガジンを4個。


いまは装弾数151発となる。


セーフティもフルオートにしておく。


あとは指をかけるだけで発射できる様な状態だ。


G42の方も同様だ。


416のカスタムパーツとして取り付けたアングルフォアグリップを左手で保持し、ブースターとホロサイトの調整をしておく。


よし。準備はOKだ。


お姫様にはそんな襲われることはないとは言われたがまだ分からない。





ピクリ、と何かが来る予感。


お姫様は既に寝ている。


御者には少し止まるように言う。素直に従ってくれた。


馬車の扉を開き、周囲を警戒する。


前方には森…というより林?


だが、奇襲をかけやすい場所だ。


ヘルメットから暗視装置を目の位置に下ろし、サーモグラフィーモードに切り替える。


「3、4、5…8か」


これならやれる。


サプレッサーが着いてることを確認し、416を構える。


馬車の扉は開けたままにして盾にする。


扉に銃の側面をつけ、射撃する。


パシュッ、パシュッ。


サプレッサーを付けた銃特有の、何かくぐもったような音が響く。


「これで全員やったかな」


そのまま林の中へ敵の死体を確認しに行く。


馬車には追随してもらう。


馬車の横の雑木林の中の死体から、装備を剥ぎ取る。


高価そうなものや、身分証。


何かに役に立つかもしれないからな。


「おい、転生者」


…この声は。


「やっぱりお前も関わってたか、御者」


「へっ、あんな距離で俺の仲間を全員やっちまうんだから驚いた。だが、その武器は近距離だと弱い」


「ふむ。なぜそう思った?」


「そっから飛ばす攻撃は直線にしか飛ばないから…こんな感じで、なぁ!!」


敵が近付いてくる。


が、鈍い。


「遅い」


足を掛けるだけで転ぶ。こんなのなら中学生でも倒せる。ただ、気迫に勝てれば。


「ふむ…」


だが、ここで御者を始末すれば馬車を放棄せざるを得ない。そう考え、敵の足と手を【闇縅】で縛りながら、【器】で手錠と足枷を加える。


最後に、【闇縅】を解除。これで留置所にいるやつみたいな風貌になった。


「なぁ、取引をしないか?」


「取引だって?」


「あぁ。こいつらの遺品やら全てやる。どうせ死んだやつのギルドカードには死んだって事が書かれるんだ、こいつらが盗賊だった事を言えば、高く売れるだろ」


そう、ギルドカードには死んでいるかどうかも表れる。しかも、犯罪者だったもののギルドカードもそいつの住所の政府が高く買い取ってくれる。


「…対価は?」


「お前のギルドカードと、目的地までの御者役。どうだ?」


「…従わなかったら?」


「ここでさよならだな」


「分かったよ、乗ってやる」


そう言い、懐からギルドカードを取り出し渡してくる。


「さすが。リーダーは物分りがいいな」


「チッ…損な役目を引き受けたもんだ」


「あぁ。今度からは真っ当な職に着けよ。わざと、お姫様を寝させるぐらいの馬車の揺れを起こすぐらいには技量があるんだから」


「へっ、それもいいかもな。さて、行くぞ」


「わかったよ、リーダー」

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