第25話 成果
ここら1週間…辺り、か。
正直もう時間感覚は無い。体内時計も止まってるようだ。
骨が折れる感覚。内臓が破裂する感覚。腕が、足が捥げる感覚。体が貫かれる感覚。
苦痛という苦痛を味わった。
「まだよ。傷は私の力でいくらでも治せるんだから。これを耐えれるようになってから戦いなさい」
喉からは、既に呻き声しか出ない。
「私の力…まぁ、闇を取り込み、体に慣れさせるにはあなたの体の中に入れるしかないの。
これは1番手っ取り早いのだから、しょうがないでしょう?」
既に理性なんてものはない。【器】はロックされている。
痛い。こうやって何かを考えていないと、それしか頭の中に浮かばなくなる。
これでも、結構上手く思考を逸らせるようになってきたんだ。
「うーん、じゃあもうちょっと強くしてみましょうか」
…は?
吹き飛ばされる。…上半身だけが。
「があッ…うああぁあああぁ!!!!」
痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!
「ぐうぅ…があッ」
《【闇縅】の暴走を確認。沈静化不可能。【器】は以前使用不可。自動的にメルキオールシステムを終了します》
「これだから嫌なのよねぇ…闇って。1度はこうしないといけないのよ、ごめんなさい、悠斗」
ー何か、箍が外れる
嗚呼、煩い。煩い。煩い。煩い!!!!!!
吹き飛んだ腰の断面から、「何か」が生えてくる。
ズルズルと、嫌悪感を感じる音を響かせながら。
それはまるで、「百足」の足であった。
「コロス…コロスコロスコロスゥ!!!!!!!」
「あはっ♪ こんなに生き生きとしたのが出てくるなんて…悠斗、あなたの将来が楽しみで仕方ないわ!」
「…うぁ」
目を開ける、その動作すらとてつもなく面倒臭く感じる。
「あら、ようやくのお目覚めかしら。騎士様」
「…ヘレティック」
「何かしら?」
「…あの時、何が起こったんだ?」
「それは言えないわねぇ。それより、彼を復帰させてあげたら?」
彼?といくばくか悩んだ挙句メルキオールの事だと理解する。
《対象の沈静化を確認。メルキオールシステム、復帰します》
《ステータスを更新中…》
《更新完了。新ステータスを表示します》
ーステータスー
ネーム:東雲悠斗
ジョブ:【???】
レベル:46(残存スキルポイント:59)
所持属性
・【闇縅】Lv10/20
・【器】Lv10/10
所持スキル
・「共感覚」Lv7/10
…共感覚によって【器】を使用できる。
・「大信不約」Lv7/10
…【???】
・「廻煌」Lv---
…肉体及び精神にダメージが加えられた場合、そのダメージ分、"永続的に"属性が強化される。
「あらら…レベル45超えちゃったのね〜」
「超えるとどうなるんだ?」
「スキルが取りずらくなっちゃうのよ。あと、取得できたスキルも1個…まぁこれは強すぎるから等価交換とでもいいましょうか」
「…普通どれくらいのスキルが?」
「3つか4つね。まぁ、中途半端なスキルが幾つか得るよりこんな単純な強さの方がいいでしょう」
「だな。あとは…ジョブ選びか」
「といっても、既に決まってるようなものだけれどね」
「そうなのか?」
「えぇ。私…いや、私達、ね。私の他にも、【闇】みたいな強い属性のトップに気に入られた人がなるジョブってのは決まってるのよ」
「ふむ…で、なんのジョブなんだ?」
「【黒騎士】、よ。あなたは称号で異端者の騎士を貰ったと思うのだけれど、私達の騎士以外に私達を見る機会は殆ど無いのよ。だから主君がよく分からないから、【黒騎士】。
しかも神様だってなんでも見えてるわけじゃないし、神様がジョブを決めるわけじゃないしね。
ああいうのは大体がこの世界の仕組みとして独立してるし、どのジョブの条件を満たしているか自動で判定されるのよ」
「はぁ…そういうものなのか」
「えぇ。職業なんて人間だけのものじゃないしね。
まぁ、他の動物だったりは種族名みたいなもんだけど」
「ふむ。ありがとう」
「いいわよ、そんな礼なんて。
そのまま進めばジョブが判定された後に戻れるわ」
「…今までありがとう」
「またちょっと会えなくなるだけよ?大袈裟ね」
「でも、こういうことは言っておきたいんだ」
「律儀な人ね」
2人とも、目を合わせながら笑みを浮かべていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます