第24話 師匠
「これでも効果なしか…」
P90のマガジンを撃ち切るが、物理に多少効果があっても魔法が倒せない。
そしてまた、攻撃を鎧で受け止める。
「こりゃ先に体力が尽きそうだ…」
気を失ったらその時点で【闇縅】の再生が出来なくなる。
そうなったならば。想像は容易いだろう。
さてさて、どうしようか…。
…正直に言うと、少し心掛りな事がひとつ。
…奴らの手が、段々赤くなってる。
それがどんな意味を示すかって? わからん。
…ただ、赤っていうのは大抵「怒り」なんだよな。
それとなんか尖って行ってるけど…やばくね?
手が完全に赤くなった2体が、以前とは比較にならない速さで突っ込んでくる。
「早すぎだろッ!!」
勿論、避けられる訳が無い。
鎧は殆ど削られ、吹き飛ばされた壁にめり込んだ。
…やばい。
「どうなってんだよ…」
そのまま2体ともが突撃して来る。
そして、腹に手が突き刺さる。
…拳大ぐらいの大きさで貫通する感触がする。
だが。
俺はその時の打開策なら既に考えてある。
貫通した敵の手を掴む。
「【闇縅】ッ!!!」
敵が俺の掴んでいる腕から黒に包まれる。
だが。
2体とも、もう片手が拘束出来ていない。
振り下ろされる。
まずい。
目を瞑る。何か、大逆転が起きないかと、願う。
…だが、何も浮かばない。
だけど。
意識は、無くならない。
目を、恐る恐る開ける。
「全くもう、目を離すとす〜ぐ死にかけちゃうんだから…」
聞き覚えのある、懐かしい声。
「…ヘレティック」
「久しぶり、悠斗。元気かしら?」
背後から聞こえる、声。
眼前には、【闇縅】で包まれて行く2体の腕は、1人の指先によって完全に静止していた。
「後でお説教ね、悠斗。まずは、目の前の雑魚共を蹴散らしましょ」
そう言うと彼女は、指を離す。
刹那、敵の腕から粉々に散って行く。
比較にならない。
「勇士さんはジョブ1つ得るのにこんな試練を突破しないといけないなんて大変ね〜」
そう、ケロリと彼女は言う。
「あなたに戦い方を教えてあげる、悠斗。この場所だと外の時間は止まってるみたいだし…あなたの【器】も知りたいしね」
どう?、と聞いてくる彼女。こんなの、断れるわけがない。
「あぁ、俺に戦い方を教えてくれ…師匠」
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