第18話 都合の良い解説者
まるで、闇に呑まれたかのような感覚。
何も感じることが出来ない。
…だが、心地良さがある。
何か、優しいものに包まれているかのような。
『ふふっ…この私の影をも呑み込むとはね…。
あぁ、私の愛しい子…いえ、悠斗…!
また、近い内に会えるわ…その時まで、生きてなさい!
さぁ、いけ! この黒龍、【ヘレティック】の名のもとに!!その命を、捧げて見せよ!!!』
背中を引っ張られるように現実へ引き戻される。
目を開ける。
まだ、しょぼしょぼするが、周りを見渡す。
豪華な部屋だ。
美しい装飾がこれでもかと散りばめられているが、そこに低俗さは見当たらない。
なんというか…豪華な質素、とでも言うのだろうか?
《称号:異端者の騎士 を獲得しました
これから自動的、永久的に黒龍の加護が保持されます》
…なんだ、この異端者の騎士、ってのは…?
確か、さっき見た夢に出てきた龍の名前…「ヘレティック」!
…つまり、俺はあいつに命を救われたってことか?
《否。かの黒龍、ヘレティックは【器】の再現の手助けをしたまでです》
ふむふむ…そういえば、この世界にはステータスなんかがあるんだろうか。
《ステータスを表示するには頭の中で念じてください。画面が網膜内に展開される為他者には見られる心配はありません》
…というか、すんなりと話してくれるこいつはなんなんだ?
《私は転生者のサポートにあたるシステム「メルキオール」です》
メルキオール…確か東方の三賢者、だっけかな…まぁいい。
ステータスオープン、と
…ふむ。やはりスキルと…【器】とかは属性に入るのか。
…あと、闇縅ってなんだ?
《【鎧】と【影】を融合した結果出来上がった属性です》
あー…理解理解。あと身体能力の数値は出ないんだね。
《そんなもの当てにはなりません。どんなに強かろうと大量に出血すれば死にます》
なるほど。一理あるな。
《一理どころか百理あるといっても差し支えありません》
おお、随分ぐいぐい来るね君。
《…あと、残り5分でシステムはダウンします。それまでに、何か聞いておきたいことはありますか?》
そうだな…いや、強いて言えば。
この世界の人間に銃は効くのか?
《効きます。この世界の銃弾は魔法や魔力…精神力のようなものですが、それを込めないと火薬の爆発力が足りずに不発します。
その為、対魔法障壁に弾かれてしまいます。
ですが、【器】で顕現させた銃器は、完全な物理攻撃です。魔法使い相手には圧倒的な力を誇るでしょう。
また、【闇縅】では物理の他に魔法、魔術攻撃も可能です。
そもそもの【闇縅】が半物理半魔法攻撃なのですから、当たり前ですが。
つまり、魔法使い相手には【器】、近接相手には【闇縅】が安定でしょう》
ふむふむ…これなら基本戦術が確立出来そうだ。
《【闇縅】でもある程度の召喚術は行使可能です。主に出現するのは龍種のようです》
龍!! これはそそる。どんな男でもこれはそそる。
《異端者の騎士の称号を既に得ているならば、その力は十全に持っているでしょう。召喚には若干の素材が必要にはなりますが、召喚したい個体によって変わります》
ふむふむ…!! いやぁ、これは期待が膨らむぞ…!
《5分が経過しました。スリープ状態に移動します》
ああ、ありがとうな!
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