第14話 決着はすぐそこに

ここであのガスを使っても共倒れだ。


とりあえず口と鼻を覆うガスマスクや防具を【鎧】から体に装着させる。


片手には既にG42から専用ライフル弾を使用するファイブセブンに持ち替えてある。


もう片手にはナイフ。腕をアンダーレールに添えて、ナイフを逆手で持つ。


「来いよ」


そう言うと、暗殺者は一気に距離を詰める。


まず、ハンドガンで1発。避けきれず肩に掠る。


2発目は、ひらりと避けられた。


「くっ…」


相手は肩を抑える。しかし、左肩にしか当たってない。


多分、相手の利き手は右だ。そこまで大したことは無いだろう。


「うおおぉ!!」


それをチャンスと思ったのか。その時、横からお姫様を守っていた騎士1人が突っ走っていく。


「馬鹿野郎…!!」


追うが、到底間に合わない。


騎士は上段から振り下ろそうとするが、綺麗すぎる。


よくあるやつだ。そう、「読まれやすい」。


「カヒュッ…」


綺麗に避けられ、喉を切り裂かれる。


血が暗殺者に降りかかる。


既に血みどろで、中には臓物も上衣に付いている。


しかもそれに嫌悪感を表していない。


やはり、只者ではない。


「…あんた、マジで何者だ」


「答えてあげるが世の情け、ってなると思ったか?」


「…あんた、転生者か」


「正解。じゃ、続き」


距離を詰めてくる。しかも、弾丸をよけれる様に。


「クソっ…」


ファイブセブンを戻し、ナイフのみで迎え撃つ。


こういう相手は攻めるのが攻撃のパターンだ。そこにあまり守ることは意識していない。


つまり、こちら側は攻められる前に攻めるしかない。


守り続けることは成功しない。


守ることが成功するのは、攻めて攻めて攻め続けることだ。


カキン、カキンと金属がぶつかり合う音が廊下に響く。


息切れは全くしない。…これが、勇士の力か。


いつまで戦ったのかは分からない。


「もらったァ!!!!死ねッ!!!」


「勝利に焦ったなッ!!馬鹿め!!!」


最後に、1度。


金属が、刃が。


交わり合う。


その瞬間、鉤爪がーーーー

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