第3話 射撃練習

  あの声が途絶えると、目の前が真っ白になって行く。


 そして、目を開けるとー





 マンションの一室?とでも言うように小奇麗な部屋に居た。


 それも結構広い。


 まず、俺が居るのは寝室だろう。


 ベッドには真っ白なシーツが綺麗に引かれている。


 そして横にはテレビ。下のラックには多くの映画のDVDがある。


 多分これは精神的なサポートなのだろう。


 睡眠しなくて良いからといって一睡もしないのは拷問のようなものだろう。


 そして扉をあけると、廊下に出る。


 多分廊下の反対側のドアはトイレと浴室だろう。


 そして玄関の反対側にはリビングとキッチン。


 キッチンの中の冷蔵庫を開けると、調味料から野菜に肉、そして冷凍食品さえある。


 正にいたれりつくせり、と言ったところだろう。


 玄関に行ってみたが扉は開かなかった。


 ベランダからは遠くに的がある。


 多分、弓や魔法…そして【器】を銃に変形させたら届くだろう。


 試しに【器】をスナイパーライフルに変形させようと試してみる。


 想像するのはイギリス軍のL96A1。


 ボルトアクション式の狙撃銃で、口径は7.62ミリ。射程は800m。


 あの的には悠々届くだろう。


 そう思いながら想像するとー



 手にずっしりと重みがかかる。


 危うく落としそうになるが、この狙撃銃の重量は5キロ。


 当たり前といえば当たり前だろう。


 マガジンを外して見ると、弾薬が10発…まぁマガジン1個分がちゃんと入っている。


 またマガジンを装着する。


 ガチャン!と気味のいい音がする。


 そしてボルトアクションの醍醐味、コッキングをする。


 金属製のボルトを右手で起こし、引く。


 こうして弾がマガジンから銃本体へ装弾される。


 そして押し込み、もとの位置へ戻す。


 こうして弾が薬室に入る。


 セーフティを解除する。


 これでもうトリガーを引くだけで発射できる。


 スコープのキャップを外し、風を測る。


 …まぁ、大体無風?


 ゼロインがどうなるかもわからない。


 正直、これは俺がやってたゲームから再現したものだ。俺は実銃を触ったことがないから。


 だからゼロインも無いし、勿論風で逸れるなんてこともない。


 よし、いっちょ撃ってみるか。


 狙いを定め、トリガーに指を掛ける。


 そして指を引く、その瞬間ー





 目の奥が熱くなる。何かが蠢いているような…。




…思い出した。これはー





 ズドンッ!!!




 そして的はー





 ドォン!!!!





 爆発する。


 …これは、確か前に見た深夜アニメであった。


 多分、【器】はそれを再現したのだろう。


 改めて見ると、エグいな。


 いや、他の能力なんかもどうなるかわからない。


 【剣】なんて地面を裂くんじゃないか?


 まぁ、そんなことを考えていてもしょうがない…。


 幸い、時間はまだある。


 20年後、どうするか。


 それは俺にもまだわかっていないけどー




 運命を変える、という使命感は心の中で燃え続けている。

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