第27話


 全てであるが故に一人だった。

 一人でただ在り続けることは苦痛だった。

 だから……自分以外を望んだ。

 そして世界は望んだ通りに自分以外で満ちた。

 それに直接触れることはしなかったが、眺めることはできた。

 それを眺めているだけで幸せになれた。

 それが幸せであれば自分も幸せになれた。

 それが笑顔を浮かべていれば自分も笑顔を浮かべることができた。

 しかし一人であることにかわりはなかった。

 それでも充分に幸せだった。


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