第13話
「久しぶりだね、レミ」
そう声をかけられた。
夢でも、幻でもない。
今、レミの目の前にはジアがいた。
ずっとこの時を待っていた。
ずっとこの時を夢見ていた。
この時のためにだけ努力を重ね、この時のためにだけ生きてきた。
涙が溢れて止まらない。止まるわけがない。
その涙で、ジアの姿が滲んでしまう。
それが嫌で、レミは必死で涙を拭った。
そして返事を考える。
たくさんあった。言いたいことは数えられないくらいあった。
この五年間、ずっと寂しかった。悲しかった。いや……それすら感じないくらいに心は空っぽだった。
そして今はうれしい。幸せで愛おしい。
ジアと共にレミの心の中に温かい感情が戻ってきた。
レミの心の中は言葉ではなく溢れる感情でいっぱいだった。
言葉にはできなかった。この溢れる想いは言葉なんかに還元できるものではなかった。
だから……もう、感情のおもむくままに、レミはジアに抱きついた。
強く強く抱きしめながら、レミは子供のように嗚咽を漏らしながら泣いた。
「あ、ああ……ジア。ジアぁぁ……」
そして嗚咽と共にやっと口から押し出した言葉は、大好きな人の名前だった。
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