第12話 秘密
「キャーッ冷たぁい〜!」
「モラック様!待ってくださいよ〜」
今日は昨日、モラックに誘われたプールに来ている。爺も近くにいるため、今日は敬語を使っているが気を使ってる訳では無い。今日は思いっきり楽しむつもりでいる。だって昨日は閉じ込められてたんだ。今日くらい思いっきり体を動かさないと訛ってしまう。
プールは、25mサイズが2つあり、流れるプールもある。ウォータースライダーも付いている。ここを一般向けに開けば一定の金が取れそうなくらい立派な所だ。
と言ってもこのプールも城の敷地内、城の外へのお出かけとはならなかった。
出来れば城の外へ出て、モストン王国のことを色々調べたいんだけどまだその願いは叶わないでいる。影武者を外へ出させる訳にはいかないのか知らないけど俺はモストン王国へ来てから1歩も城の外へ出ていない。
別に城の敷地内にも色んなところがあって退屈はしないんだけど、でもやっぱ城下の様子も見てみたい。
うーん…まだかな。
もうちょい経ったら出してもらえるのかな…。
ま、そんときを気長に待つとしましょうか!
「タラルスくーん!これ!水鉄砲やろっ!」
「はいっ!やりましょう!」
水鉄砲をお互いに掛け合い、2人とも水浸しになって楽しい時間を過ごした。
キャッキャウフフ…とっても楽しい、楽しかった。
「モラック様、タラルス様、お楽しみのところ申し訳ありません。私、少々用事ができてしまった為この場を離れます。つきましてはプールからお上がり頂き、こちらでお体をお休め下さいませ。」
プールに入って2時間くらい経った時、爺がそう言った。
もっと遊びたかった俺たちは、2人で顔を見合わせ、
「大丈夫だよ」「大丈夫です」
と爺に言ったが首を振られてしまう。
なんでも自分の目の届かないところで危険と隣合わせのことをされ何かあってからでは遅い、
何かが起こってしまったら恐い…ということらしい。
爺を納得させるいいアイデアも浮かばなかった為、一旦プールから上がり休むことにした。
「あーなんか暇だねぇ。早く爺帰ってくるといいんだけど…」
「そうだなぁ…」
「あっそうそう!タラルスくんの事、タラルスって呼び捨てにしてもいい?ぼく、そういうのやってみたくって!」
「ん?あぁ!もちろんいいぞ!俺だって2人きりの時はモラックって呼び捨てしてるしな!」
「ほんと?!やったー!」
それから俺たちはじゃんけんとか、手遊びとかで時間を潰した。けどそれも30分が限界…もう飽きた。
「あー!遅い!爺、遅い!何してるのかな?」
「確かに遅いなぁ。」
「んーもうっ…。あーまぁいいや、ちょうどいい。ねぇタラルス、ちょっとぼくの内緒話聞いてくれる?」
「ん?なんだ?」
「えっとねぇタラルスってこの国来てから外へ出てないでしょ?城の外!」
「あぁ…まぁそうだけど。それが何か?」
「んとね、それはね…タラルスが僕の影武者って所為もあるんだけどそんなことより重要な理由があってね、それはね ぼくも影武者だからなんだよぉ!!」
……はっ!?!えっ!?
えっ…どういうこと?!
「ははっやっぱその顔すると思った。だよね、びっくりするよねぇ。」
「いや…そりゃそうだろ。ってかどういうことだ?お前が影武者って…?」
「んとね、ぼくは第2王子なんだ。第1王子は、兄様。ぼくよりずっと優秀で、強くてかっこいいんだよ。だけど身体が弱くてね…ずっと部屋に籠って寝ているんだ。ただ頭もさえてぃて、強くてかっこいい兄様に対する周りの期待の目は止まらない。そんな兄様が床に伏せてるって世間にバレたら大変、だからぼくは兄様の代わりをしてるんだよ。背も伸ばして、髪色も変えて、本も沢山読んでなるべく兄様になれるように…。だからね、"ぼく"はいないんだよ。今、ここにいるのは出来損ないの兄様もどき。どんなに頑張ったって兄様にはなれなかった。」
まじか…。
モラックがこんな秘密を抱えていただなんて…。
出来損ない?兄様もどき?
そんなわけあるか!
今、俺の目の前にいるのは努力家で、優しいモラックだ。出来損ないなんかじゃない。
俺の大切な友達のモラックだ。
「そんなことない!モラックは出来損ないなんかじゃない!モラックは、モラックは…!」
目から涙が溢れてしまって、嗚咽が出てしまって、上手く伝えられなかったけど、言いたいことは伝わったみたい。
冗談っぽく笑っていた顔に目に涙を浮かべて、「ありがとう、ありがとう…」
って言ってくれた。
「ぼくの周りには味方がいなかったんだ。みーんな兄様の味方!だから好きな物とかやりたいこととか全て兄様の趣味を押し付けられていた。そんな生活が嫌でね、何度も逃げ出そうとした。そんな時、タラルスがここへ来てくれたんだ。ぼく、嬉しかった。やっと仲間ができるんだって。何も知らないタラルスならぼくの仲間になってくれるはずって…。だからありがとね。ぼくと友達になってくれて。」
「こちらこそありがとう。俺なんかと友達になってくれて。他国から来た俺を友達扱いしてくれて。」
「どーいたしましてっ!ってふふっ。ひっどい顔だねぇww」
「あっ!言ったなぁwそーゆうモラックだって鼻水垂れてるぞww」
「えっうわぁほんとだ!ww」
涙でクシャクシャになった顔でお礼し合って、最後には大笑いして、とっても楽しい、濃厚な時間が過ぎていった。
あぁよかった。モラックと出会えて本当によかった。
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