第10話 俺が目指すもの

っ…はー

疲れたぁ〜

やっっとモラックに貰った本読み終わったぁ。

長かったぁ。

本って面白いんだなぁ。読むの大変だったけど苦痛じゃなかった。やっぱ1人で読むのとは全然違うんだなぁ。本の世界ってこんなに面白かったんだ。初めて知ったなぁ。

モラックがいなぎゃこんな事分からなかった。

よかった。モラックと仲良くなって良かったなぁ。モラックはすごい奴だなぁ。

モラックの影武者になれて良かったんじゃないか?これが俺の運命だって悲観してたけど実は運命的な出会いで、俺にとってプラスの事なんじゃないか?

だってそうだろ。

モラックは良い奴なんだから。

影武者になれたことは幸せなことなんだろう。


今日で、タラルス王国を出てから5か月前が経った。だけど俺には不安とか、ホームシックとか全く無かった。

モラックに会えてよかった、ここに来て良かった…その感情しか無かった。

まだ情報は盗めてないし、父さんの役に立ちたい気持ちも無くなってない…けど、けど俺は此処にいることに不信感を抱かなくなったんだ。

まだ父さんは待っててくれてるはず…まだ帰らなくたって平気だ。

だって昨日も一昨日も帰らなくたって平気だったんだから。

もうちょい此処にいたって平気だ。

モズーク王は苦手だけど、モラックは好き。

モラックの役にたちたいなぁ。


「タラルスくん〜あそぼー!」

「はい!」

「あれっ?!もう本読み終わったの?早いねぇさすがだねぇかっこいいねぇタラルスくん!」

「いや////そんなこと…」

モラックに大声で褒められ、照れてしまった。

「いや、すごいよぉ!この本難しかったんだから!僕でも読むの大変だったんだよぉ?すごいねぇタラルスくん!」

「ありがとう…」

「うんっ!あっそうだ!この本読み終わったってことはもう今日の勉強はおしまいだよね?だったら遊びいこー!ちょうど外のアマリリスが綺麗に咲いてるんだよ!見に行こー!このアマリリス、ぼくの誕生花なんだ!」


アマリリスかぁ…あの花はピンクで可愛い。

花言葉は、"すばらしく美しい"

あの花が誕生花ということは…モラックの誕生日は1月26日か。覚えておこう。祝いたい。

誕生花の花言葉が"すばらしく美しい"なんていいなぁ。羨ましい。

俺の誕生日は6月23日。誕生花はタチアオイ。

花言葉は確か"野心"とか"大望"だった気がする。

王になるにはピッタリのイメージだけど、俺には勿体ないよなぁ。

モラックは、花言葉にあった性格で羨ましく思う。

どうやったらあぁなれるだろう。

盗めるところは盗んでみよう。

モラックのようになれるように…。


「はいっ!じゃあ行こう!」

「れっつごー!」

俺とモラックは、同じ格好に身を包み、白の庭にある菜園に向かった。

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