第8話 勉強会
今日は…勉強の日か。
はぁ…やだなぁ。
いや、勉強が嫌って訳じゃ無い。
むしろ俺は勉強が大好きだ。
知らなかったこといっぱい知れるし、賢くなるとみんなから褒めてもらえる。
だから勉強は、楽しいことだと思うんだ。
だけど…だけどなぁ…今日はモラックと一緒やる勉強だからなぁ。
モラックのレベルがどのくらいかは分からない。それが嫌なんじゃなくて、俺は自分のペースで勉強を進められないのが嫌なんだ。
だって俺は今まで1回も家庭教師とか学校とかに頼ったことがない。全て自学で学んできたんだ。自分のペースで進められるからとっても楽しいんだ。
それが今日は俺以外の人間が2人もいる空間で勉強しなくちゃならない…。
やだなぁ…。
「タラルス様、お時間でございます。広間へご移動くださいませ。家庭教師の先生方がお見えになります。」
「はい…」
俺は重い足を引きずって、広間へと向かった。
「あっ!タラルスくん!おはよぉ今日はがんばろーね!」
モラックは先に着いてたみたいで、席につき机に筆記用具を広げていた。
「おはようございます。モラック様。」
「えっ…あぁそっか。うん!おはよう!」
モラックは"内緒だよね"と、口元に指を当てこちらに微笑んだ。
一応それに答えるようにうなづいて、小間使いに指定された席に着いた。
「おはようございます!今日も元気にお勉強致しましょう!」
元気の良い、30代後半から40代前半くらいの男が部屋へ入ってきた。
「おぉこれはこれは。タラルス様。はじめまして。今日から私と一緒に勉学に励みましょうね!」
「よ、よろしくお願いします…。」
「はいっ!では本日の授業は数学でございます。」
数学か…何習うんだろ。
俺、基本ならほとんどできるんだけどなぁ。
そうして始まった数学の授業はレベルがとてつもなく高かった。
想像してたのと全然違う…。
あんなに勉強してた俺がやっとついていけるくらい…。
とにかくやばかった。
まず数式をポンッと習って、それからはそれの応用を永遠と…。
習った数式もアルファベットが入ってくるあのややこしいやつだったんだ。
苦手だったからよく分かって助かったけど…まぁ疲れた。
これをモラックは毎回やってんのか…?
スゲーな。やばい。
これは尊敬するわ。
「はいっ!これで本日のお勉強は終了でございます!お疲れ様でしたっ!」
先生がそういった時、外は暗くなってきていた。
嘘だろ?だって始めたの昼前だぜ?
こんな時間経ったのか…。
ヤバっ…。
「ふーつかれたねぇ。お疲れ様!」
そう言うモラックは、ケロリとした表情。
疲れなんて微塵も感じさせなかった。
まじか…。
すげー。やべー。
俺だってこんな時間勉強したことない。
なのに、モラックはこんなに勉強してるんだ。
んで、疲れも見せない。
すごいなぁ。さすがだなぁ。
やっぱ王子がこんだけ勉強してるんだからモストン王国も繁栄してるのかな…。
じゃあ俺も頑張んなきゃ。
せめてモラックと肩を並べて歩けるようにならなくちゃ。
よしっ頑張ろう。
全てはタスクラ王国繁栄のために…。
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