第7話 今日の予定

ん、ああ゛ぁー!

あぁ…もう時間か。

まだ、目覚ましは…鳴ってない。よしっ。


今は午前4時。

小間使いに言われた起床時間より3時間早い目覚めだ。

なんでこんな早く起きたのかって…?

そりゃまぁ…この国の機密を盗むため。

だってこんな時間にでも動き出さないと、日中は誰かしらがすぐ近くにいるからなぁ。

今やらないと。


多分…この階にはないと思うんだよな。

こんなとこにポンッと機密を置いとく訳がない。あるとしたら…あそこ。

モズーク王の部屋か、モズーク王の部屋の隣にある書斎。

さすがに部屋に忍び込む勇気と気力は無いから、行くのは書斎だ。


さて、じゃあしゅっぱーつ!


……暗いなぁ。

電気はつけれる訳無いから、暗さに目を慣らさないと…。

ここに何かしらがあればいいんだけど…。

そしたら俺はすぐ帰れる!

父さんと母さんに会えるんだ!

あぁ早く帰りたい。

父さんと母さんに褒めてもらうんだ。

「よく頑張ったな。」って言ってもらうんだ。


それから1時間ぐらいだろうか…。

俺は必死に探した。

棚の中や、本棚にある本の中まで…。

だけどこれといった機密の情報は何一つ出てこなかった。

出てきたのはモラックの生年月日が書かれた書類だけ。


へーモラックってもうすぐ誕生日なのか。

ふーん。ま、関係ないか。

やっぱ何も無い。重要書類は、モズーク王の部屋にあるのかなぁ。

ちぇっなんだよ。無駄骨じゃん。

あーもうっ疲れた!

あっそういえば今、何時だ?

えっ…もう5時半近いじゃん!

やばいやばい!

朝日が登っちゃうよ。


朝日と共に小間使いは、目を覚まし仕事を始めるので俺は焦った。

いくらお客様の俺だとしてもこんな早朝に書斎に忍び込んだことがバレたら怪しまれる。

いや、怪しまれるで済めばいいけど下手したら反逆者として捕らえられてしまうかもしれない。それは何としてでも避けたい。

俺はいい子ちゃんを演じて、そんで情報盗んで、タスクラ王国に戻りたいんだから。


やばいやばい!とにかく早く部屋に戻んなきゃ。


っふー。よかったぁ。戻ってこれた。

急いで戻ってきたため息ゼェゼェだけど、疲れたという思いより安堵感の方が強かった。


時間はまだ6時前…。

まだまだ起きるには早い時間だ。

疲れたし、ちょっと眠るか。


「タラルス様、お目覚めの時間でございます。」

あっ…もう7時か。

小間使いは普段と変わらない対応…。

ふーよかった。今朝のことはバレてないようだ。


小間使いが用意した朝食を食べてると

「タラルス様のご予定は本日ございません。なので本日は、お部屋の方でお休みくださいませ。」


へっ…?今日は予定ないの?なら、勉強とかしたいんだけど…。


「お勉強でございますか?お勉強は明日、モラック様と一緒に家庭教師の先生に教えて頂くご予定でございます。ですので本日は、お勉強のご予定はございませんよ?」


えっ…なにここ?勉強も自由に出来ないの?

えーそれダメじゃない?

一応さ、俺お客さまだよ?

ちょっとは自由 ちょーだいよ!


「ご予定のご確認はよろしいですか?では失礼致します。」

「あっ…はい。」


今日は、この部屋から出られない…。

えーやることないよぉ?

どーしよっか。

こんなことならまだモラックと喋ってた方が時間が早くすぎてく気がする。

モラックならこんなことないんだろうなぁ…。

いいなぁモラックは。

ってか今日モラックは何してんだろ?


窓から外を眺めると、モラックは爺と一緒に外の木陰でお茶会をしていた。


あーいいなぁ。外出てるんだ。

俺も外出たいなぁ。

モラックに頼めば俺も外に出れるのかなぁ…


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