作家になろう! ~転生編~

それでは、前回の引き通り。

「いけパク」を具体的に利用した作家への道を探りたいと思います。


この項から読むかたのために、もう一度述べますが、「いけパク」とは、


「読者さんのためという主張とそれを裏付ける努力と周囲の協力により、既存ヒット作品の要素を大量に取り入れながらもオリジナリティを持つと主張できる創作活動」


の、ことです。


※ご注意 この項はすべてパロディ、妄想、フィクションです。私はこの方法を使う予定はないし、実際に行った場合はすべて自己責任です。また、偶然似たような方法を実践されているかたをけなす意図もありまへんのどす。

もし異世界に転生したらアレするんだ!というレベルのジョークとしてお楽しみいただけたら幸いです。



いけパクは、次のようなプロセスを辿ります。


0. いけパクは読者さんのためにやっているのだ、と思い込む

1. 各種パク・カードを作る

2. パク・カードをシャッフル選択し、タイトルと設定を決める

3. タイトルと設定を元に、各キャラ・シートの冒頭を書く

4. パク・カードをシャッフル選択し、各キャラ・シートに肉付けする

5. パク・カードをシャッフル選択し、1話ごとにいくつかのイベントを執筆する

6. 上記を繰り返す



パク・カードは次のような種類があります。



【トレンド】


 サイズ  トランプまたは名刺サイズ

 制作頻度 1週間ごとに50枚

 賞味期限 1回でも使用したり、3ヶ月を越えたら破棄

 

フリー投稿サイトのトレンド・ランキング上位にある小説から、タイトルと1話に含まれる単語やエピソードから、自分の感性で抜き出した一言、あるい一言にまとめたパワー・ワード。

または、SNSのトレンド#タグから自分の感性で抜き出したワード。



【トレンド・ヒロイン】


 サイズ  トランプまたは名刺サイズ

 制作頻度 1週間ごとに30枚

 賞味期限 1回でも使用したり、3ヶ月を越えたら破棄


フリー投稿サイトのトレンド・ランキング上位にある小説の、10話までに含まれるヒロインから、自分の感性で抜き出したヒロインのキャラ設定。

※ただしコスチュームと身分の描写は除く。



【オールド・ヒロイン】


 サイズ  トランプまたは名刺サイズ

 制作頻度 常に100枚以上、多ければ多いほどよい

 賞味期限 なし


50年以上前に没した実在のヒロイン、または、50年以上前に発表された創作物のヒロインから、自分の感性で抜き出したヒロインのキャラ設定。

※ただしコスチュームの描写は除く。



【グラフィック】


 サイズ  A6以下、可能な限りカラー

 制作頻度 常に100枚以上、多ければ多いほどよい

 賞味期限 1回でも使用したら破棄


「すべての、ラノベ・アニメ・ゲームとその派生創作物」のすべてのメディアから、実在・非実在を問わず、男性・女性を問わず、自分の感性で集めたコスチュームのグラフィック。



【イベント】


 サイズ  トランプまたは名刺サイズ

 制作頻度 常に1000枚以上、多ければ多いほどよい

 賞味期限 1回でも使用したら破棄


すべてのメディアから、実在・非実在を問わず、自分の感性で集めたイベントやエピソードを1枚のカードに書ける短さにまとめたもの。いわゆるテンプレを含む。


※ご注意 いまさらですが、この解説は、「フリー投稿サイトから書籍化というビジネスモデル」において「なぜそんなことをするのか」読解できるレベルの作者さん向けに書いています。また、「いけパク」は既存の方法(プロット等)に置き換えるものではなく、執筆量をブーストする目的で使用します。



パク・カードを十分作ったら、次はタイトルと物語設定を決定します。


「トレンド」カードと「ヒロイン系」カードをシャッフルして、数枚を選択します。

そのカードを参考に、あるいはそのまま羅列して、「タイトル」と「物語設定」を決定します。

ピン!とこなければシャッフルから繰り返します。


次は、物語設定を分解・展開し、キャラ・シート数枚の冒頭に書き込みます。

ひとりのキャラは、ひとつ以上の物語設定を体現する存在であり、文章としての物語設定は基本的に描写せず、すべてキャラの言動フィルタを通して表現します。


キャラの肉付けには、「トレンド」と「グラフィック」と「ヒロイン系」(女性キャラには)カードをシャッフル、それをイメージに構想を固めます。

最も大事なのは、そのキャラの口調と決め台詞です。


「チート」は物語設定に含まれます。「ステイタスの詳しい内容」は決め台詞に含まれます(笑)。


各キャラ・シートが出来上がったら、執筆に取り掛かる前にもう一度、トレンド・ランキング上位にある小説の第1話のみ流し読みして、自分の中にあるギアを調整しておきます。


執筆は、第1話と第2話のみ「イベント」カード2枚、「トレンド」カード2枚を参考にします。第3話からは両方のカードを1枚ずつ参考にします。1話当たりの文字数は2000文字以下、10話ごとに大きなイベント・キャンペーンが終了、という進行にします。すなわち、ラスト1回分は打ち切りエンド用としても、約5回のキャンペーンで1作品の区切り、ということですね。


※ご注意 カードを参考にする、とは書きましたが、その重みは「上司の命令」、そして「自分が給料を払う部下」です。人によっては、カードの種類や運用方法にさらに改良が必要でしょう。


「サイトへの投稿方法」についても「いけパク」、つまりランキング上位の作者さんと同じ方法をとりましょう!


その詳細は作者さんによって違いますが、最大公約数として、毎日1話投稿を心がけます。40話の時点で星の伸びが芳しくなかったら、もう10話でそれなりに終了して、新連載を準備します。


つまり、約10万字の完結した作品を、ガッシュガッシュガッシュガッシュと機関車が疾走するがごとく量産するのです。


ひとつの投稿サイトで常に同時に2本以上の連載を行います。

その理由は後述します。


もし、それらが出来なかったら、まだまだ「いけパク」のスピリッツと回転による省力化が足りない、と考えるべきです。




以上が、いけパクを使った方法になりますが、この執筆活動を「仕事」ととらえるなら、さらに、やるべきことがあります。というか、「できることはすべてやる」必要があります。


すべては、読者さんのために!


私程度でもすぐに思いつくのは、出版社(の書籍化スタッフさん)へのアピールです。


※ご注意 ここから述べる出版社の感覚は、私の実体験に基づいて……いやいや、「見てきたようなウソ」をついてるだけですよ!


当たり前の話ですが、スタッフさんはフリー投稿サイトのすべての作品をすべて読んではいません。ランキング上位の作品ですら怪しいものです。

そして、書籍化する作品を選ぶとき、その作品の主観的面白さやランキングと同じくらい、スタッフさんが確実に重要視していることがあります。


それは、スタッフさんの上司への提出資料。

さらに、作者さんの人材としての能力です。


もし、スタッフさんが書籍化する作品を選ぶとき、「ランキング上位だから声を掛けましょう」あるいは「私は面白いと思うので書籍化しましょう」という言葉だけでそのスタッフさんの上司に持ちかけたら、無能の烙印が押されるでしょう。


まったくキビシイ社会ですよ!


そんなことは、経験のないバイトでも、ライバルの出版社のスタッフさんでも、上司ひとりだけでも、簡単に出来ることです。つまりスタッフさんには、ランキングや星の数以外(もちろんある程度の成績は必要)の「分りやすい資料」が必要になるのです。


そして、スタッフさんには、2つの大きな心配があります。それは。


 作者さんが、その作品を出版することを拒む可能性。

 作者さんが、極端に独善的わがままである可能性。


前者については人によると思いますので、後者のみ説明します。


ほとんどの作者さんが気付けないことですが、ほとんどの作品は、フリー投稿サイトに投稿された状態のままでは、出版社の戦略から見ると商品として成り立ちません。どれだけ「大物」であっても、それなりに「調理」しないと、そしてそれなりに続けて「お客さま」に出せる「仕入れ」がないと、安心して「皿」に載せることはできません。


しかし、その「調理(書き直し)」や「仕入れ(構想の拡大や新作企画)」は、作者さん本人がしなければなりません。しかし、その方向性は専門家であるスタッフさんが導かなければなりません。


もし、作者さんがその「話し合い」に素直に応じなければ、あるいは時間が掛かれば、その作品は旬を失ってしまうでしょう。自分の作品に口を出されることを嫌うタイプのかたは、ぐだぐだと「話し合い」が続くばかりで、出版社からは決して書籍が出ることはないでしょう。


以上の事実を踏まえて、次のような3つの具体的な対策がとれるでしょう。



【評価返しの形骸化】


これもまた、ランキング上位の作者さんと同じ方法をとることが基本ですが、作者さんによっては一部の読者さんに対して、極端にヒイキしたり、極端に罵倒するかたがいます。


もし貴方がミシュランの評定員だとしたら、お客に対して不必要な関わり方をする店に、いくら料理の味がよくても星をあげたいと思うでしょうか?

サイトの読者さんは書籍の潜在的お客さまであることを、それを判っていない作者さんのことを、スタッフさんは評価するでしょうか?

もちろん作品を知る前には、そんな細かい所など見るはずはありませんが、書籍化決定の最終段階では、自作品をまかせてよいレベルのスタッフさんなら、必ずチェックします。


読者さんからの評価に対して、善意だとしてもいちいちで長文で返していたら肝心の(より読者さんのためになる)執筆が滞ってしまいます。かといって無視や罵倒をしたら、悪印象になって以後の評価がもらえなくなるどころか、スタッフさんの覚えも悪くなります。


つまり、「フリー投稿サイトから書籍化というビジネスモデル」においては、意識して「評価返しの形骸化」を行う必要があるのです。



【コンテストへの参加】


コンテストへの参加は、一位になるためではありません。

スタッフさんに、「良い成績ですよ」「書籍化したいと思ってますよ」とアピールするためです。スタッフさんも、上司への提出にその2項目のデータが増えるので、注目せざるを得なくなるのです。


同じサイトに2本投稿する意味も、ここにあります。

書籍化されない限り最終的には2本ともコンテストに参加するのですが、1本を最初からコンテスト向けに書くことで、戦略的な投稿ができるようになるのです。


そう簡単にいい成績がとれるわけ?


そんな疑問もあるかと思います。

しかし、考えても見てください。作者さんの中には、コンテストのことを、不平等である、不効率である、競争を強いられて心が折れる、など否定的なかたがたがいます。そして、そのかたがたが不満を持つのは、そもそも持論を裏付ける実力があるからです。


そういう実力があるかたがたが、すなわちのライバルが、コンテストという場では自分から消えてくださるのです。

少なくともコンテスト以外の場所よりは、ずっといい成績がとれるに決まっているではありませんか!



【企画書の提出】


各出版社に送る書類はA4で2枚。

もうそれだけで、ライバルたちが送る福袋みたいな企画書(笑)より好感を持たれ、結果的に目立ちます。

同じ理由で、メールは使いません。


Faxは……

もし親のカタキに勧めるなら、絶対Faxで送れ、と言うでしょう(笑)。


1枚は手書きの200文字程度の挨拶状。もう1枚は、1作品のみの書籍化をアピールする800字程度までの、PCで作った企画書です。企画書の書き方はネットにいくらでもあります。


企画書には、その作品を読むために必要なデータやキャッチコピーの他に、ランキングなどの評価のうち、最も優れた(瞬間最大風速な)数字を2つだけ盛り込みます。あらすじや内容の紹介は不要です。「画像」も絵描きさんたちの専門分野なのでやはり不要です。


また、コンテストの成績が良かったら、必ずそれも入れる必要があります。

スタッフさんはコンテストが不公平なことぐらい承知しているけれど、予選通過とか二次通過といった個々の良い成績について調べるほどヒマじゃないからです。


もっとも重要なのは、「さらに売れる作品を作るために、スタッフさんたちの意見を柔軟に受け入れて作品をブラッシュ・アップしたい」という意の一文を組み入れることです。


※ご注意 この企画書は、スタッフさんが読むのではなく、スタッフさんの上司が忙しい時間を割いて読めるように作るものです。そして、書籍化の企画書は「面白さを伝える媒体」ではありません。ラーメン店開店の融資を銀行に頼みにいくとき、自作ラーメンを持っていく人は現実にはいません。


これを各出版社に送るのですが、送って一週間たって反応がなければ、別の出版社に送ります。企画書を送る時期は、対象になる作品が8万字を越えたあたりでしょう。

社内の受付窓口は調べれば分ると思いますが、分らなかったら「フリー投稿サイト作品の書籍化検討ご担当様」で十分だと思っています。


反応のなかった出版社でも、別の新しい作品が8万字に達すれば、また新しい企画書を送りつけてやりましょう!

「まともな社会人」が「まともな営業」を無視し続けるのって、けっこうストレスなんですよ!


最後にもうひとつだけ。

スタッフさんには「いけパク」を使っていることは、言わないほうがいいでしょう。

「坊や」かも知れないからさ。



以上!

すべては、読者はんのためどすえ!


さて、次回のタイトルは……


「さよなら、カクヨム」



「俺のカクヨム」最終章に突入です!



無料フリーで書ける、読める、伝えられる。

もっと自由フリーに、カクヨムライフを。

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