第2話 製造方法

「イテっ!」


俺は大男に壁に投げつけられる。


「さてと、話の続きをしようか?」


「何度も言ってるだろ!俺はお前らにあの製造方法を教えるつもりはねえって!」


「ああ、わかっているとも、何度も聞いた。その上で今、交渉に来たわけだ、そもそもなぜ嫌がるんだ?俺だってただでとは言っていない、お前が一生とまで言わないものの、半分ぐらいは楽して生きられるぐらいの生活は保証できるって言ってるだろ?」


「俺は良い暮らしがしたいわけじゃねえ!気に入られねえんだよ!お前らが奴隷商売やら、ヤクを売ってるって聞いたらよ!」


「ああ、それか?それをやめろというのは無理な話だな、あの商売はよく売れて、効率がいい。それに部下たちを養うのに金が必要なんだ」


「綺麗事を!ただ金が欲しいだけだろ?成金が!」


俺がそう言った途端に、壁の破壊音ともに黒い物体が俺の左端を通過した。

気づくのに遅れた。

後ろの大男の一人が俺に向かって黒い金棒を振りかざしたのだ。

どうやら、わざと外したようだが、もし当たってたとしたら、ゾッとする。


「おい、こら、クーパ」


男は大男の肩を背伸びして叩いた。


「コイツ、ダンナのこと、バカにシタ!それにコイツさっきからわがままだ!」


「クーパ、俺は暴力が嫌いだ。暴力ってのは品のないやつがすることだ、わかるな?」


「デモ、ダンナ…」


「それにそう怒ることじゃ…」


男が何か言おうとして俺に近づこうとした瞬間に、上から少女が降ってきて、その男に襲い掛かったのを、クーパという名の大男がその金棒で防いだ。


「だいじょぶ?」


そう言った上から降ってきた少女は俺がお嬢様抱っこをして、宿まで送ってたその人だった。


少女は俺を背にして大男とする。彼女の手にはあの不気味な肉の塊で出来た包丁が握られていた。


「お前!何でこんなところに?!」


「さんぽ、そしたら見つけた」


「ダンナ、サガッテ!」


黒いローブの、クーパが言う。

男といえば、先ほどの危機一髪で尻もちをついて笑っていた。


「うおおおお!!!危ねえ!!ありがとう!クーパ!俺死んでたわ!」


「笑ってねえで、後ろに下がってください、旦那、巻き込まれますよ」


そう言ったのはまた別の男らしく、二人の大男比べて背は低いがそれでも高い部類に入るだろう。屈強な体の割には口調は紳士っぽく聞こえる。


「名前がわからないけど下がって、巻き込まれる」


「おうわかった」


と俺は黒髪の彼女に言われ、壁から離れる。

しかしながら、あんなか弱い少女があんな大男と対等に張り合えるのだろうか?心配だった。

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