8.日本人が好きなもの
『 アイム・ジャパニーズ 』
僕は日本人だ。子供の頃に家庭の事情で海外でも少し暮らしたので、アイム・ジャパニーズと何度か素で自己紹介をした事がある。こうして文章にしてみると、日本人であるという事を書くだけで何となくドキドキしてしまう。最近ほら、色々とありますから。
高校を卒業したあたりから、「日本人は〜」「いかにも日本人的な〜」という文脈で、否定的な意味で日本を馬鹿にする意見が増えてきたような気がする。いわゆる、「右にならえ」的な行動とか、画一的なファッションに身を包むとか、徒党を組んで排他的な集団を形成するとか、そういう場合によく使われていたのではないかとぼんやりと思い出す。もう八回目にもなるこのエッセイ群を読んでいただいている方は、僕が上から目線のスペシャリストである事はご存知の事とは思いますが、「いかにも日本人って感じだよねー」って発言をする人の隣で「お前も日本人だろ」とこのワタクシですらドン引きしていたものだった。勿論思っただけだ。日本人的に腹の中に納めた。ビカーズ、アイムジェィパニーズ。
大胆な括りは暴言として楽しむには良いが、素で繰り出されるとびっくりする。
だが今回はそうしたナショナリズムをどっこいしょと脇に置いておいて(少し臭う)、僕は「日本人が好きなもの」について語りたい。その目的は、物語を形成する上でのヒントとする為だ。日本人が好きなものを題材に何か書けば、文章だけで暖かいご飯と冷たいコーラに不自由せず生活出来るようになるかも知れない(ゲス顔)。
桜。
なぜ人は、日本人はここまで桜に惹かれるのか。
僕の周りでは、生まれてくる子供にサクラと付けた知り合いが二人いる。桜という名前の人も一人いた。これは凄い事だ。確かにサクラは綺麗だ。咲き乱れる所も物凄く綺麗だし、桜という漢字の字面すら美しいと感じてしまう。きっと見た目で好きな漢字ベスト5の統計を取れば、桜は愛に次いで二番に入ると思う。
でも、僕は綺麗な美女と(
「
ってはにかむ女子の方が好きになると思う。
しかも、桜はピンクって所がまた凄い。造型担当の神は形が美しい花の彩色にピンクを与え、気候も心地よい季節に生まれるよう設定し、散り際さえ儚みを見る者に与えるよう作りたもうたったのだ。これで散る間際にすり潰したカメムシみたいな匂いがしたら、僕の知り合い達は生まれてくる子供にサクラなんて名前は絶対に付けなかっただろう。歌なんかでも桜が付く名曲をパッとすぐ思い出せる。やはり桜は最強だ。最強伝説だ。
桜の次に思い付くものは、花火だ。
だが、桜に比べるとパンチは弱い気がする。確かに美しいが、花火大会の悲惨な混雑を嫌い、その悲劇にあったが故に花火に良いイメージを持てない人も一定数はいるだろうと想像する。花火はしかも、現場で観ないとその良さが十全に理解できないというハンデもある。
「いやー、隅田川の花火大会、よかったねー。テレビで観たんだけどさー」
などとドヤ顔で言うと、途端に可哀想な人カテゴリーに分類されてしまう。海外でも花火は勿論大人気だとは思うけど、特に女性が浴衣を着て観賞するという文化は日本だけではなかろうか。花火大会といえば浴衣だ。女性の浴衣姿にときめかない日本人男性はあまりいないだろう。その風習込みで、花火はその人気を獲得しているのだと想像する。
花火の人気投票をとってみたら、女性よりも男性の支持票が上回るのではなかろうか。爆発、浴衣、うなじの合わせ技だ。でも、女性にとっては大変だろうと思う。気の毒だ。浴衣じゃなくて、ラフな格好で気楽に楽しむ形で全然良いと思うんだけど。
歌でも花火は何曲か有名なのは思い出せる……が、桜程ではない。知り合いでも子供に花火という名前をつけた人はいない。タケシ映画のHANABIも金獅子賞を獲ったが、ソナチネに比べるとそれ程ではなかったような気がする。音楽は良かったけど。
次に思い付く日本人が好きなものは、これは上の二つのような具体的な物事ではないのだけど、「普段はダメなおじさんだけど、実は凄い人だった」のパターンではなかろうか。スーパーマンに代表される、普段は冴えないオジさんだけど、実は超強い謎のスーパーヒーローでした!、的な奴だ。と、ここまで書いた所で例に外国の映画を挙げてしまった。これは特別日本人が「好きなもの」ではないかも知れない。きっと世界中の男が好きなものだ。惜しい。
では、「職人」ではないだろうか?
ちょっと前に…具体的には2010年頭くらいに、「◯◯職人」という食べ物や飲み物がやたらと発売されていた覚えがある。泡職人とか、パン職人とか、名称で購買意欲を高める目的と考える。男性は職人に憧れるし、女性も職人が作ったスペシャルなモノや、職人に向けてひたすら努力する人が好きな筈だ。これも前述のスーパーマンと同じく、見た目は普通のおっさんだが、「実は凄い人」系統のものだ。町工場の何の変哲もないおじさんが、実は世界に一人しかいないとある楽器の調整が出来る国宝級の人だった、というような。これも絶対好きなカテゴリーの一つだと思う。
以上を鑑み、好きなものを組み合わせて物語をこしらえて発表すれば、ウッハウハでノリノリで暖かいご飯と唐揚げと冷たいコーラに不足する人生にはならない筈だ。
☆☆
交通事故で、妻を亡くした植物職人
その裏に巨大な陰謀が渦巻き、妻がその巻き添えになった事を知る
日本政府は各地に育生する桜をアンテナとし
宇宙に飛び交う人工衛星をウルトラハイジャック
各国に人工衛星の故障を装って墜落させることで核に代わる破壊兵器とし
その地位をアメリカを凌ぐものとしようとしていた
植物職人はその計画を頓挫させるべく桜とカメムシを交配させ
そのDNAを粉末にしたものを八尺玉の花火に詰め込み
火薬類取扱保安責任者と火薬類製造保安責任者の資格を取って
日本各地で打ち上げる旅に出る
幾多の困難と各地自治会長達のヨーダ的な手助けを受けながら
全国約八カ所で打ち上げ終えると
全ての桜からカメムシをすり潰したような異臭が…
日本国民は泣きながら桜を切り倒す
こうして世界の秩序は守られたのだ
☆☆
うーん。
軽く死にたい気持ちになるのは何故か(死ね死ね)
一応申し上げさせて頂くと、書き終わった小説はこんな風にいやらしい分析など全くせず、ちょっと出てた芽を引っ張ったらズルズルと出てきたような、自然発酵天然育ちのものだ。でもそれだけだと味が薄い(つまらない)ので、思う存分手を振るってあります。計算なんかで物が書けるか、と声を大にして言いたい。
ともあれ、あと少しでこのエッセイも終わりです。
今回に懲りず、あとすこしお付き合いお願いします。
【コメント】
◇僕は、トゥハートというゲームの影響で、桜が好きになりました。
◆一回友達に勧められてやったことが!
ずいぶん昔です…。なつかしい…!
江戸川台ルーペ 2018年10月12日 21:46
レビュー☆3
文章なし
集計期間: 2018年5月2日 19:00 〜 2020年2月17日 05:04
❤️8 👁35
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