(19)〜魔女の少女は「魔女」に出会う〜
ライゼが手紙に気付いた頃。
セレスタイトは森の奥、以前ライゼと瘴気が出ているのを見つけた所まで来ていた。
「前来たのはこの辺りだから、何かあるとすればここのはずなのだけれど……」
そう呟きながら、セレスタイトは持ってきた小さなランタンに灯りを灯し、木の根元を照らしたり、しゃがみ込んで地面に触れたりと母の手記に書かれていた「『悪しきもの』が
しかし、以前来た時より瘴気は濃くなっており、それらしいものも見つからない。
「もし…もし証拠が見つかって、万が一、相手と対峙する事になったら…。戦うことも考えておかないと……。いいや、大丈夫。私にはみんなが付いてる。頑張ってライゼの旅について行こう。」
そう一つ呟き、決意を新たにして、再び歩みを進めようとした。
その時。
「あらあら、随分威勢がいいのね?」
「え?」
誰もいないはずの森のどこからか突如、女の人の声がした。
自分の周りをランタンで照らしその姿を探すが、ランタンの光に照らし出されるのは森の木々のみで、人の影はない。
「うふふ、此所よ、此所。うーえ。」
言われた通りに木の上を見上げると、そこには毒々しい真っ赤な色の口紅に細身の真っ黒なドレスを纏い、手に扇子のようなものを持った黒髪の女の人が立っていた。
「こんばんわ、はじめまして浄化の魔女さん。私はアンジジェリカ、他の魔女からは深森の魔女って呼ばれてるわ。よろしくね?」
アンジェリカと名乗った魔女はにっこり笑顔で笑う。
「こんばんは、はじめまして。私はセレスタイトっていいます。」
そう名乗って、ふとセレスタイトは違和感を覚えた。
それはいつもだったら見逃しそうな、そんな小さな違和感だったけど、その時は何故か大きな引っかかりを覚えた。
---あれ?何だろう、この人…変だ。
「そう、セレスタイトちゃんって言うのね?素敵な可愛い名前ね」
セレスタイトの違和感を他所に、アンジーは手に持っていた扇子を広げ、恥じらうように口元を隠しながらコロコロと鈴を転がすように笑った。
「ところで突然なのだけれど、セレスタイトちゃん。あのね、あなたにお願いがあるの」
アンジーは可愛らしく首を傾けながらそう言った。
「何でしょうか?」
返事をしながら、セレスタイトは必死に違和感の正体を探り、ある一つの答えに辿り着く。
---あっ、この人…笑っているのに……。笑っているはずなのに……目が…笑って…いないんだ。
そう気付いたのと、アンジーが『お願い』の内容を言ったのはほぼ同時だった。
「セレスタイトちゃんお願い、死んで?」
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