(6)〜魔女の少女の家にて ②〜


 翌朝、セレスタイトは、台所に立ち、二人分の朝食を作っていた。


 すると、二階から、欠伸をしながらライゼが起きてた。




「おはよう、よく眠れた?」


「おかげ様で、久しぶりにきちんとしたベットで寝れたよ」


「良かった、ガスパルの朝食はもう持って行ったから、私たちも食べよ」


「あ、行ってくれたんだ、ありがと」


「どういたしまして」




 そして二人は、昨日の夕食と、同じ席について、セレスタイトの用意した朝食を食べる。


 ふと、ライゼがセレスタイトに気になっていたことを言った。




「なあ、セレス、昨日聞き忘れてたんだけど…セレスの両親は?」


「二人とも、もう亡くなってるわ、父さんは私がまだ物心つく前に魔物に負けた時の傷が原因もとで、母さんは数年前に流行病で……あ、でも平気よ。街には仲良くしてくれる薬屋の夫婦が居るし、母さんが死ぬ前に自分の知識を全部書いた手帖を残してくれたし、贅沢しなければ食べていけるくらいの遺産は残してくれているから」


「そっか……素敵なご両親だったんだな、ちょっと会ってみたかったな」


「ええ、自慢の両親よ」


 そう言ってセレスタイトはにっこりと微笑んだ。










 ****




 その後、ライゼは、商売の為に荷馬車に乗って、ガスパルと街に向かった。


 そして、街の大きな時計台の広場に着いた時、広場には人だかりができていた。


 荷馬車を止め、気になって行ってみると、人だかりの真ん中に祭りの主催者の代表らしき人物が集まった人々に、こう言っていた。




「〜えー。今朝早くに街の近辺の森にて、魔物が出現しました。問題の魔物は討伐されましたが、安全確認のため、本日予定されていた前夜祭を含む、全ての祭りの日程をずらして祭りを開催することになりました。また、本日の安全確認で、魔物の新たな出現が認められました際には、この祭りの延期もとい中止を検討せざるを得ないことをご報告させていただきます。ご迷惑をおかけしますがなにとぞよろしくお願いします」




 魔物の出現の報告を聞いて広場は壮絶としていた。


 ライゼは急いで荷馬車に乗り込むと、セレスタイトの家に戻っていった。










 ****


 一方、セレスタイトは、この日も、自分の部屋の向かいにある調合室で、日課である薬作りに勤しんでいた。


 すると、馬車の走ってくる音が聞こえてきたので、調合室の分厚いカーテンを、開けて外をみてみると、街に向かったいたはずのライゼの荷馬車が戻ってきている。




「あれ?ライゼだ、どうしたんだろう…何か忘れ物でもしたのかな?」




 セレスタイトは、薬を作っていた手を止め、いつもの着ていた作業用のエプロンを取り、椅子の背にかけて玄関先に向かった。




「お帰りライゼ、どうかした?忘れ物?」


「いや、今朝、街近くの森で、魔物が出たらしくって…一応、武器と飛び道具を持っておこうと思って…どうした?急に考え込んで?」




 セレスタイトは、魔物が出たと聞いて少し考えを巡らせた。そして、ライゼに向き直るとこう言った。




「ライゼ、魔物と戦った事ある?」


「あることはある、まあ その時は、逃げること優先だったから、本当に倒したのはたった二匹だけどな…それがどうかしたか?」


「…倒したって事は魔物の倒し方は知っているのよね?」


「魔物の核を砕けば、砂のように崩れて消える」


「正解、大丈夫そうね……ねえ、ライゼ、お願い、私と一緒に森に来て欲しい」




 セレスタイトはこの時、何か妙な胸騒ぎがしていた、しかしそんなはずないと心の何処かでこの妙な感覚を、信じたくない自分がいた…












 〜そして、物語は大きくうねり始める〜


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