第16話【大富豪・その6】
「しかしフーゴさん、 これを聞くのは人間としてどうかと思いますが・・・」
言い淀むハシモト。
「大丈夫ですよ、 どうぞ」
「貴方、 何で除霊をしたいと思うのですか?
貴方はカイキューとの約束通り大富豪のトッププレイヤーになれているじゃないですか」
「そうなんですが・・・・・駄目なんです」
「駄目?」
「ハシモトさん、 貴方、 大富豪の経験は?」
「学生チャンプでした」
「セミプロって所ですかね・・・ならば分かるでしょう?」
「何がです?」
顔を下げるフーゴ。
「プロの大富豪プレイヤーの持つ熱量、 感じた事が無いですか?」
「・・・確かに分からなくもないですよ、 学生の頃でも大富豪の決勝戦は白熱していた」
「その白熱の舞台に俺みたいにズルをしているプレイヤーが上がって良いのか? と思うんです」
「・・・・・なるほど、 道理で・・・」
にこりと笑うハシモト。
「・・・? 何がです?」
「如何してアルバイトをしている冴えない大富豪プレイヤーに妻が居るのか分かりましたよ
こんな良い男なら女がほっとく訳無い」
顔を赤らめるアーシュとフーゴ。
「報酬ですがさっき貰った全国大会優勝の賞金、 それをそっくり頂きたい」
「構いません、 寧ろこの家を買ってからと言う物
殆ど賞金の類には手を付けて居ませんのでそれら全てを持って行って貰っても大丈夫です」
「いや、 結構、 それは今後の生活費に充てると宜しい」
「で、 ですが」
「但し一回失敗した場合はそのお金を使うかもしれません」
「し、 失敗?」
「ハシモトさん、 一体何をするつもりですか?」
ニコが不安そうに見る。
「カイキューさん、 貴方に大富豪を申し込む」
「!!・・・」
驚いた顔で震えた後にフーゴが口を開く。
「ほう・・・アンタ、 分かって言っているのか?」
フーゴの口でカイキューが喋り始めた。
「分かっているとも、 さっき全国一位になった大富豪プレイヤーに挑戦をしている
私が勝ったらフーゴさんの体から出て行って貰おう」
「アンタが負けたら?」
「別の奴を連れて来て勝つまでやる」
「・・・普通こういう時は何らかのメリットを提示するもんだろうに」
「カイキューさん、 貴方の目的は大富豪をしたい、 だろう?」
「ふ、 見破られていたか」
「ならば大富豪の試合を申し込まれたらそれで充分だろう」
「だな、 受けて立とう!!」
――――――――――――――――――――
【登場人物紹介】
アーシュ
フーゴの妻、赤毛の三つ編みで結構図太い
大富豪プレイヤーでは無いがルールは分かっておりプレイ出来る
得意料理はポトフ、フーゴの大好物でもある
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