第7話【外科医】

「まず始めに幽霊のイド嬢が憑りついているのは左腕です」

「そうなのか?」

「えぇ、 左腕に強く結びついています」

「左利きだからかな・・・」

「大体利き腕に憑りつかれる事が多いのですよ

そこで今回紹介する外科医に腕を切断して貰います」

「腕を切断!?」

「え、 ちょ、 ちょっと乱暴すぎませんか?」

「乱暴ですがこれが一番手っ取り早い方法です

数ヶ月数年単位で良ければ交渉人を呼んで只管説得、 と言う手も使えますが」

「そんな暇は無い」

「でしたらこうする他ないですね」

「い、 いや、 だが・・・」

「他に手早くする方法は有りません」


淡々と説明するハシモト。


「しかし腕を切るだけなのに300万も取るのか?」

「適当に腕を切るのでは無く外科的に切除、 と言った方が正確でしょうか」

「如何違うんだ?」

「痛み無く切れますし、 切った後に縫合をして止血、 衛生にも気を付けていますし

専門的な霊的外科医で無ければ憑りつかれている部分を正確に判断出来ません

まぁ保険は適用外ですが」

「・・・・・」


考えるゾッグ。


「ご主人様、 僭越ですが申し上げますとここでご結婚が成立しないと

当家は非常に苦しい立場になります」

「だ、 だが突然片腕が無くなって、 先方の不評を買わないか?

隻腕ではみっともないのでは?」

「それならば問題有りません、 先方の祖父方は軍人で隻腕ですし

戦争で障害を負った方々への支援等も惜しみなくやっております

差別される事はありません」

「だ、 だが急に片腕無くなって如何したと聞かれるだろう?」

「偽装工作ならお任せ下さい、 そういう事は得意です」

「な、 何で?」

「ご主人様の女遊びのアリバイ工作等を手がけましたから」

「だ、 だが・・・その・・・」


だらだらと汗を流すゾッグ。


「やはり、 ここは長期的な除霊にシフトした方が良いのではないのですか?」

「い、 いや!! 女に手を出したとか知られたら事だ!!」

「ですが踏ん切りがついていない様子」

「くっ・・・」

「後が無いですよご主人様」

「わ、 分かった!! やるよ!! 300万G持ってけ!!」


ゾッグが叫ぶ。


「300万Gは小切手支払いで宜しいでしょうか」

「大丈夫ですよ」

「では早急にお願いします」

「分かりました、 コンタクトを直ぐに取りますので」


―――――――――――――――――――――――


【登場人物紹介】

イド

ゾッグに雇われていたメイド

何処にでもいる様な普通の少女だったが

愛された事が無かった、そんな折にゾッグに触れ愛される実感を味わった

しかし遊びだと言われ一方的に捨てられ自殺しゾッグに憑りつく

霊格が低いが殺しに来ているので危険度はCランクと高い

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