第6話【メイド】

「金は幾らでも払う、 ですか

魅力的な言葉ですが、 まずはそのメイドの霊が一体誰か

教えて頂いても宜しいでしょうか?」

「・・・・・教えないと駄目か?」


ゾッグは気まずそうにする。


「えぇ、 これは知らなければ駄目な所ですね

下手をすれば貴方にも危険が及びます」

「・・・・何故だ?」

「下手をすればここに居る全員が死にます」

「え!? そ、 それって私もですか!?」


ニコが叫ぶ。


「当然でしょ」

「な、 何故だ!?」

「そのメイドに対する処置を誤ってしまった場合

怒り狂って我々にとばっちりが来る可能性が有ります」

「そ、 そうなのか?」

「えぇ、 ここまで強く恨まれているという事は・・・

まぁそう言う事なんでしょうね、 客商売で言う台詞では無いですが心底軽蔑します」

「軽蔑って・・・」

「殺しましたね?」

「い、 いや違う!! 違うんだ!! 話す!! 話すよ」


ゾッグが慌てて否定して話し始める。


「このメイドは俺が雇っていたメイドなんだ

名前はイドって名前でちょっと・・・まぁなんだ」

「肉体関係が有った?」

「・・・・・」


頷くゾッグ。


「でも遊びのつもりだったんだ!! 本気じゃなかった!!」

「だがイド嬢は違った、 と」

「・・・それでも充分に色んな物を買ったつもりだ」

「それで?」

「・・・・・俺に婚約の話が出て来て

イドが怒り狂って・・・そして自ら命を断ったんだ」

「そうですか」

「確かに自分勝手な話だとは思うが、 金なら言い値で払う!! 何とかしてくれ!!

このままじゃ結婚が出来なくなる!!」

「・・・・・方法が無い訳じゃないです、 しかし・・・」


言い淀むハシモト。


「何だ? 方法があるなら教えてくれ!!」

「手っ取り早く除霊できる方法は、 あります

但し、 相当高額な上に貴方の左腕を頂きます」

「何ですと!?」

「左手!?」

「え、 ど、 どういう事ですかハシモトさん!?」


困惑する一同。


「除霊に何で俺の左手が必要なんだ!?」

「正確に言うと除霊ではないですね」

「除霊ではない!?」

「ちゃんと幽霊は祓われますので、 そこは御心配無く」

「・・・・・ちゃんと説明しろ」

「説明はしますが、 高額ですよ?」

「幾らだ?」

「300万G支払って頂きます、 その上で貴方の左腕を頂きます」

「・・・・・話を聞こう、 まずはそれからだ」


―――――――――――――――――――――――――――


【登場人物紹介】

ゾッグ

プレイボーイな貴族

遊びで色んな女性を泣かせてきた

その報いで今回、ハシモトに依頼する事になった

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