第4話【ダメ人間】
ニコはハシモトへの依頼料の代わりにハシモトの事務所で働いたり
売れ残りのパンを持って行ったりしているのだが、 最近になって分かった事がある。
それはハシモトはダメ人間の部類に入る人間らしいのだ。
その兆候を初めて知ったのはパンを持って行った際の事。
ニコは売れ残りのパンを持って行った。
「売れ残りのパンと聞いて期待していたが、 売れ残ったパンは食パン一個?」
「はい、 ウチのパンは人気なので」
「ふむ、 確かに旨いな、 大きいし、 これで三日は持つ」
そう言いながら食パンをもぐもぐと食べるハシモト。
「ジャムとか使わないんですか?」
「お金ないので買えないんだよ」
「お金無いんですか?」
「そりゃあ除霊とかポンポン依頼が入る世の中になったら、 もう末世じゃないか」
もぐもぐと食パンを食べる。
「この事務所の家賃とか如何してるんですか?」
「ここの大家さんとは特殊な家賃形態を取っている」
「つまり?」
「ある時払いだね」
「あ、 ある時払い?」
「そう、 除霊屋は依頼は少ないがゼロではない
そしてそれなりに高い、 ならばある時払いでも問題は無いと言う事だよ」
「私から言った話ですけどもお支払いお金じゃなくても良かったんですか?」
「良いだろう、 こうやって外に出なくても食べ物が手に入るんだから」
もぐもぐと食パンを食べる。
「随分食べますね、 ウチのパンは美味しいですか」
「三日ぶりの食べ物だからな、 美味しいに決まっている」
「三日ぶりって全然食べてないんですね・・・」
こんな感じにお金にだらしがない赤貧生活を送っている。
他にも物が少ないから散らからないが基本的にだらしがない。
着る物はちゃんとしているが整理は大して出来ない。
あまりにも適当な生活を送っている。
「もうちょっとちゃんとした生活を送ったらどうですか?」
「幽霊が見えるって言う特異体質状、 こうやって生活出来るってだけでも
凄い事だと思うけどねぇ・・・」
そう言ってニコが持って来たパンをもぐもぐとソファーで横になりながら食べるハシモト。
「はぁ・・・あ、 そう言えば手紙が来ていましたよ」
手紙をハシモトに手渡すニコ。
「ん・・・」
手紙を見るハシモト。
「ニコ、 仕事だ、 荷物持ちを頼む」
「え、 仕事の依頼ですか?」
「ついでに着替えた方が良い」
「え、 着替え?」
「相手は貴族様だ」
―――――――――――――――――――――――
【登場人物紹介】
オーヤ
ハシモトの事務所の大家
パーマの中年女性だが投資家の一面も持っており
様々な所に投資しているやり手
ハシモトも投資の一環として特殊な家賃形態で事務所を貸している
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