第2話【パン屋の娘】

「何も出来ないって・・・じゃあ除霊出来ないじゃないですか!!」

「落ち着きなさい、 幽霊にも色々有るんだよ」

「色々?」

「例えるならば触るだけでも危険なタイプ、 無害なタイプとか色々

そういう色々な種類の幽霊に対して、 色々な種類の霊媒師を私がセッティングする

言うならば私は仲介人、 と言う訳だ」

「なるほどぉ」


納得するココ爺。


「仲介人ですか」

「そもそも霊媒師は霊と向き合う事を仕事にした人達だから

生きている人とはそりが合わない事が多いんだよ

だから私の様な人が仲介に立つ、 と言う事だ」

「へぇー・・・それでお爺ちゃんに憑りついた霊はどんな霊ですか?」

「老婆の霊だね」

「ロバ?」

「老婆、 老婦人の霊だ」

「・・・もしかして栗色の髪の毛をしていますか?」

「しているね」

「あぁ、 それは多分家内だと思います」

「ふむ・・・外見的特徴を幾つか確認しますね」


ハシモトが確認を取り、 憑りついた霊がココ爺の家内のカナ婆と言う事が分かった。


「婆さんが憑りつくなんて・・・儂、 何か悪い事したかなぁ」

「いえ、 そんな事は無いですよ、 恐らく力加減を間違えているのでしょう」

「力加減?」

「何かして欲しい事が有って注意を引こうとしているのですよ

肩を叩いているつもりが肩を叩き過ぎて偉い事になっている、 と言う訳です」

「そうですか・・・ではこの場合は如何すれば・・・」

「そうですね・・・今回の場合はカウンセラーを呼びましょう」

「カウンセラー?」

「えぇ、 何をしたいのかを聞きだせればそれで良いでしょう

緊急性が高い案件でも無いですし」

「そうですか、 儂としてはなるべく早く何とかして欲しいのですが・・・」


肩を押さえるココ爺。


「それでは除霊の代金として60万Gをお支払いください」

「60万!? そんなにするんですか!?」


驚くココ爺。


「まぁそれ位が相場でしょう」

「60万もはらえません・・・」

「何とか負かりませんか?」


上目遣いをするニコ。


「負かりません、 こっちも仕事なので」

「うぅ・・・何とかならんのか・・・」

「駄目です」

「な、 なら私が何とかします」


ニコが挙手する。


「何とかします? 如何するのですか?」

「私の家はパン屋なんですが売れ残りのパンを毎日貴方に渡します!!」

「それだけではねぇ・・・」

「じゃ、 じゃあパン屋が休みの日に貴方の相談所の雑務とかやります!!」

「うーん・・・まぁ良いでしょう、 それで暫く様子を見させてもらいます」

「有難うございます!!」


――――――――――――――――――――――――――――


【登場人物紹介】

ニコ

金髪ツインテールの美少女。

パン屋の娘で素直な少女。

お爺ちゃんっ子でハシモトへの依頼料代わりに

ハシモトに売れ残りのパンを渡し、 ハシモトの手伝いをする事になった。

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