仲介人ハシモトと愉快な幽霊祓い師達

@asashinjam

第1話【仲介人】

とある建物の借り事務所『ハシモト霊的相談所』

その相談所の前に立っているツインテールの美少女。


「うー・・・何か緊張する・・・でもやらなきゃ!!」


コンコン、 と事務所のドアをノックする。


「開いてますよー」


ドアの中からやる気の無い声が聞こえる。


「・・・失礼しますー・・・」


おっかなびっくり、 ドアを開ける美少女。

事務所の中は大して物が無い、 一応書類とかは有るようだが大して繁盛していない様だ。


「お客さんですかー?」


ソファーに横になっていた黒いスーツに黒いネクタイ、 黒縁眼鏡の男が起き上がる。


「あ、 はい!! チラシを見かけて相談に来たんです!!」

「・・・幽霊なら君には憑いていないよ、 気のせいだ、 帰りなさい」

「分かるんですか!?」


男は自分の眼を指さして言う。


「この眼は幽霊を映す、 幽霊が憑いているか如何かは一目でわかる」

「あの・・・幽霊が憑いているのは私じゃなくてお爺ちゃんなんです!!」

「お爺ちゃん? 詳しく話してくれ」

「はい!!」


ツインテールの美少女のニコはパン屋の娘なのだが

彼女の祖父が突如として謎の肩の痛みを訴えている。

祖母が亡くなって直ぐに痛み出し、 肩にはくっきりと手跡が付いている。


「それで幽霊の仕業じゃないかと尋ねて来た、 と言う訳か」

「そうなんです!!」

「まずは幽霊の状況を見て見ないと分からない、 君のお爺ちゃんの所迄

案内して貰おうか」

「はい!! お願いします除霊屋さん!!」

「除霊屋じゃなくて私はこういう者です」


名刺をニコに渡す男。

名刺には『ハシモト霊的相談所 所長ハシモト』と書かれていた。


「ハシモトさん? 変な名前ですね」

「親が頭イカレていたんだろう、 そんな事よりさっさと仕事を済ませよう」

「分かりました!!」


ニコの案内で彼女の祖父の所に行くハシモト。

彼女の祖父、 ココ爺は肩の痛みに耐えながら突如やって来たハシモトに対してもお茶を振舞った。


「あつつ・・・どうも初めまして、 ココです」

「ハシモトです、 これ名刺です」


名刺を渡すハシモト。


「これはご丁寧に・・・あつつ」


肩を押さえるココ。


「あの・・・お爺ちゃんは・・・」

「完全に憑かれてますね、 間違い無く幽霊の仕業でしょう」

「そうだったのか・・・手跡とかも有ったし薄々感づいていたが・・・」

「じゃ、 じゃあ除霊をお願いします!!」

「何か勘違いをしているな」


お茶をズズーと飲むハシモト。


「私は幽霊が見えるだけで幽霊に対して何か出来る訳じゃない」

「「え、 えっー!?」」



――――――――――――――――――――


【登場人物紹介】

ハシモト

黒いスーツに黒いネクタイをしている黒縁眼鏡の男性

幽霊が見える眼を持っているが幽霊に対して何も出来ない

幽霊の状況と顧客のニーズに合わせて適切な幽霊祓い師を紹介する仲介人

ものぐさな性格で黒を愛用しているのも汚れが目立たないからという理由。

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