第4話第一幕、第一場、夜光般若


ーー胸騒ぎがする、バナナかってこようっと


田舎の、夜は早い

というか、黒いーーコンクリートでできた地面を、一人ポツンと歩いていると

どこからか生温い風が吹いてくる


コンビニ、というのは田舎でもあるものだーーただし、かなり遠いが


しかし、まぁそれでも、ここの住民は慣れたもので、普通に通るが


(あ、明日の授業どうしようかな、国語のぷりとんと学校に忘れた)


ーー無人駅、、、さび付いた、外装、鉄橋が暗くてよく見えない、闇の中ひっそりと立っている


ーーこんな時間に電車は来ないーーいや、それどころか「この駅」から電車に乗る人などあまりいないだろう

なんとなく、思い立ちーー鉄橋を渡る、、、がたんごとんがたんごとん



ーーあるはずのない、電車の音を聞いたとき、青年の頭にーーらんらんと輝く

般若の面が現れた


紅い、ランプはならない、踏切の音はしない

ただーー電車の音がする、、、がたん、ごとんがたん、ごとん


、、、、足が動く、、、動いてはいけない方へ、、、ひとりでに


がたんごとんがたん、、、、、


ーー夜に、こうこうと輝く般若は、口元を血で汚す


ーーー「イケニエ」は一人、、、さぁ、祭りの始まりだ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「波阿弥陀仏」「波阿弥陀仏」


黒い、喪服を着た、倉山家の当主代理のおかみさんが、青い顔をして額に手をやっている


線香のにおいがしてくる


「れいちゃん、れいちゃん」

「おばさん、まさかあっきーが死んでしまうなんて」


12代目灼鎮、風車ーーちなみに、先代のおじいちゃんは

六文銭


「亭主も、いってしまったばかりだというのに、私を置いていくなんて、ううう」

「おばさん、おばさんのせいじゃありません」


れいは、英明の幼馴染であり、同クラスでもあった


「いいえあるのよ、昨日ーーあの子突然外に出たの、その時声をかけてればよかったうわあああああああん」


「おばさん、、、、、」


ーーまた、般若がこうこうと輝く、、、

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