第10話 現在-5

現在-5

 

 

2019/06/28

 

「今日のこの後、バーに行かない?」

 

 志田は今日の授業が全部終わると、そう言いだして来た。

 

「バー?大して酒飲まんぞ俺は」

 

「は?あんだけ私の家で飲んで何を言ってるの?」

 

 ……そういえば、そうだった。

 俺は今まであまり飲んでいなかったから知らなかったが、俺は酒に強い方らしい。

 

「……わかった。行く」

 

「最初からそう素直に言えよ!」

 

 そう言いながら、志田は俺の背中を叩く。

 

「さ、行こうか」

 

 

「あの、このエルディアブロを二つ」

 

 店に着くやいなや、志田は注文する。

 

「お前、二つ飲むのか?」

 

「あんたの分も頼んでやったんだよ」

 

「あ、そ」

 

 俺は頬杖をつく。

 ……

 数分待つと、赤い液体が入ってるグラスが運ばれて来た。

 

「へぇ、こんなのなんだ」

 

 俺はグラスを持つ。

 

「ほら、乾杯」

 

「乾杯」

 

 俺と志田は軽くグラスをぶつける。

 そして、その中身を口に含ませる。

 ……

 

「エルディアブロって、確か悪魔とかそんな意味だよな?その名前の通り、アルコールが強いんだな」

 

「……あんた、本当に酒飲まないんだ」

 

「あ?」

 

「これ、名前の割にアルコールが弱いカクテルなんだよ?名前はこの色から来てるだけ」

 

「俺から見れば、ビールよりアルコール度数高いのは全部強い酒だ」

 

「じゃあ、これ飲み終わったら、もっと強い酒飲ませてあげる」

 

「別に美味ければなんでも良いんだが、お前酒の名前とかにも詳しいんだな」

 

「常識かどうかは知らないけど、なんかのときにスマホで調べた」

 

「なるほど」

 

 ……スマホはホント便利だ。

 

「それより、あんたがエルディアブロを悪魔ってことを知ってたのが変」

 

「それは昔友達に勧められた漫画で、似たような単語があったから適当に言っただけ」

 

「そうなんだ。……ほら、次のもあるんだから、一気に行って!」

 

「嫌だよ……」

 

 俺は自分のペースで飲みたい。

 

 

 

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