間話Ⅱ こごりの数学
職員室に入ってきた人は青山を見つけると近寄ってきた。
「青山先生、何してるんですか?」
金髪で、首に天使の羽が付いたチョーカーを付けて、小悪魔の羽が付いた黒いスーツと、白いパンツスーツを穿いている、北中えつ先生だった。
なんか香水か何かの良い香りがするなぁ…。って落ち着け俺。こんな変わった格好の人だぞ。ドキドキするな、俺の心臓。
「あー…数学の小テストの丸付けを…」
北中先生は髪を耳にかけて答案を覗き込んだ。
だから近いな…。心臓のドキドキが伝わってしまう。青山きびすがそんなことを考えていると、北中先生は何かを察したようだ。
「寒川ちゃんの答案でしたか。やっぱり数学は平均なんですね」
「そっ、そうなんですよ。先生のクラスでしたよね。寒川はどうですか?」
「知りたいですか…」
北中先生は青山の耳元でささやいた。
「ひいっ…!」
青山は耳を押さえた。
「ふふっ…美味しそう…!」
えっ、まさか俺っていつか食べられるのか?
と言うかこれって厨二病なのか?
青山が離れようとすると北中先生の方から離れた。正確に言うと元の姿勢に戻った。
「一言で言うと真面目ですかね。宿題とかもしっかりやってきますし、授業態度も良いですよ。ただ…真面目過ぎてつまんないかもですね」
「そうなんですか…三度とは真逆だな…」
「わたしは先生のクラスのゆなちゃんの方が面白いですね!」
「確かに面白いとは思いますけど、うるさいですよ、三度は」
青山は嫌そうに言った。
「それくらいがいいですよ。あっ…わたしそろそろ帰りますね。じゃあまた明日、さようなら!」
北中先生は残り香を置いて職員室を後にした。
「あー…緊張したー…」
青山は椅子に寄りかかって息を吐いた。
「早く慣れないとな…」
その後、採点を終えた青山は帰り支度をするのだった。
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