間話Ⅰ こごりの数学

 俺は今、数学の小テストの答案を見ている。


「寒川こごり…か…」


 あの、三度ゆなと仲が良い女子高生か…。ぱっとみ理系に見えるのだが、数学の小テストの点数は55点と平均点だ。


 北中先生のクラスか…。あの先生は正直苦手なんだよな…。なんか距離感近いし…金髪だし…。って、金髪は関係ないか。

 おまけに厨二ってるし。


 いや…今は目の前のことに集中だ。寒川の回答は、っと…。

 この文章問題でなぜか論破しているんだが…。やっぱりこれを見ると文系なんだなと思う。あれ…なんだろう?だんだん面白いな…。これはこれで良いなぁ、と思う自分がいる。


 この小テスト、三度は85点なんだな。何でこいつの方が上なんだ。こいつは失礼か…。いや…そうでもないな、こいつは。いつでも失礼だから。

 こいつと寒川はどうして仲良くなったんだか…。


 そして、俺は身体が武者震い、危険察知したようだ。

 職員室にいると当然来る。扉を開けて入ってきた。うわさをすれば、ってやつだな。北中先生だった。いつでもすごい格好だな…。俺、青山きびすは目を合わせないように下を向いていた。


 しかし、警察犬のように嗅ぎつけたのか、センサーが反応したのか分からないが、近付いてきた。

 俺はもう腹をくくった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る