第2話

『ピー…ピー…』

うっ…何処だここは?

意識が朦朧としているなか周りを見回すが、意識が戻ったばかりで、いまいち状況が理解できずにいた。

確か敵から逃げるのに通気孔から脱出したのは良いが、何処かにぶつけて意識が……

「ぶぅふぉ!…息がって!あれ大丈夫なのか?」

もしかして、これメディカルシステムか?

カプセル状のユニット内が液体で満たされている。


何で?と疑問が浮かぶが誰が俺を助けてくれたのか、流石にゲンジではないよなと考えたところで赤く光るセンサーが此方に近付いてくるのが見えた。


流石に動けない事もあり、まだ意識がない装いをしていたが、赤いセンサーの正体を確認しようと薄目を開けてギョッとした。

『生命反応…認。血圧…常…バイ……低下ナシ。』

『身体…構…、97%マデ回…』

『5分ホド…細胞再…築…了』


目の前に居たのは、暗くて良く見えないが上層で戦ったアンドロイド?サイボーグ?なのか人型に近いタイプのようだが、これって敵に捕まったんだよな…と。


人生オワタ、、、

俺の人生振り返ってもロクな事が…ちくしょう!

ハードボイルドに過ごしたのが間違ってたのか、ナニがイケないってんだよぉ!!

ダンディー差を出す為に、まずは酒だ!とカッコつけて旨くもない高いブランデーを買い漁ったり(飾っとくだけ)、飲みに行く場所だって居酒屋なら10杯飲める値段が1杯相当の渋いお店に行ってたのに、女性に対してだってモテたくて【渋キャラ紳士の10ヶ条】とか良く分からん雑誌を買って勉強までして、、、まぁモテなかったがな!クソ!!

しかも旧施設と聞いて、1発当ててラストチャンス(38歳)の薔薇色設計を何て、ウィンウィンな夢が……。


『対象ノ100%完治確認…』

『システム終了…』

プシュッ…プシュー…ウィーン!


ドキドキが半端ない!何でメディカルシステムで回復させたのか?…もしかして改造されちゃうのか、指先がバルカン砲とか口から波動砲とか、目からビームとか色々弄ばれ最終的に変形しちゃったりするのか?!


そんな事を妄想していたら、赤いセンサーの機械人?が俺の側まで近付いてきた。

『身体ノ機能二不具合ハアリマスカ?』

えっ?えっ?

何か丁寧に聞かれたよ?

「あの~何なんですかね此処?」

「つか殺そうとしてませんでしたっけ」

「あと、連れが1人いたはずですけど…」


『順二説明ヲシマス』

『着イテ来テクダサイ』


悩んでも始まらないと、気持ちを切り替え言われたとおり着いていくことにした。

5分程、人感センサーが機能しているのか緑色のランプが点滅する薄暗い通路を進む、機械人の案内で到着したのは軍の指令部のような所で大型のモニターが何ヵ所にも設置してある、ただかなり年代物のようで機能しているのか分からない。


『少々オ待チヲ』

1分位したところで、部屋全体が明るくなった。

若干、灯りが切れている箇所もあったがモニターや他機器が生き返ったかのように起動し始めた。


「凄いな、旧施設がまだ機能してるのか?」

落ち着きを少し取り戻した俺は、ハードなボイルド感を出して呟いた。

内心では、ウッソ!ホントかよ!と真面目に驚きドキドキしていた。

『ヨロシイデショウカ?』

振り返って、ギョッとしたが顔には出さず声を掛けてきた機械人を見てフリーズした。

大昔の映画で執拗に主人公を襲い続けた某人型兵器ですやん!!


なんで、そんな事を知っているかと言えば以外と今の宇宙世紀は娯楽等少なく、西暦で流行っていたものが返り咲いていたりする…ちなみに俺のハードボイルド感も漏れなく影響してたりする。


『ヨロシイデショウカ?』

「あっ、悪い」

「ちょっとビックリしただけだ」

にしても…

『モウシ訳アリマセン、コノTZ-6型ハ本来警備用ナノデスガ、エラーコードガ発生シ暴走…破壊シ再利用シタノト、人型タイプノ方ガ活動範囲ガ広イ為デス』


…急にかなり饒舌な機械人だなと思いながらも、説明を聞く事にした、

『現在、アナタガ居ルノガ地下170階層二ナリマス』

は?今なんつった地下170階だって、あり得ないとは間違っても思わない、大昔の開拓時代にテラフォーミングで表層が居住可能環境になるまで地下で資源開発等も行う施設だってあったはずだ。

だが、この惑星サードは人類が宇宙に出てから結構早くに発見されていたはずだ。

ただ、この惑星発見から加速的に技術や居住可能型惑星の発見が早くなったのも確かだな。


「フム、この惑星は何かあるのか?」

『……マズハ、登録ト承認ヲ』

登録と承認?なんのだ?さっぱり話が分からん。

だが、やらんことには話が進まんか…。

「んー、よく分からんが登録と承認だな」

「両方とも了解だ」


『本人ノ意思確認ガ取レタノデ』

『登録実施…承認手続キ二移リマス』

『施設管理権限承認…マスター登録確認完了』

ゴォーン、ゴォーン、ゴォーン

チカチカッ照明が電圧の変化で明滅を繰り返す。

一体何が始まったんだ。


内心、緊張と不安な気持ちでゲロが出そうだ!

『施設ノ稼働ヲ確認』

『稼働率35%、現階層170階ヨリ140階マデ権限管理オールグリーン』

『地上1階カラ139階層マデ権限委譲拒否発生』

『警備システム異常二ヨリ、警戒レベル10状態維持…』

『各階層ヲ、ワンフロアズツ解除推奨』

げっ、マジかよ140階をワンフロアずつとかあり得ないだろ。


『モウシ訳アリマセン。マスター・ロウ』

『一部システムガ原因不明デ認証サレマセンデシタ』

何で俺の名前知ってんの?

つかモニターに表示してある階層上から途中2/3が赤くエラー表示になっていて、エラーが発生していた。

「…みたいだな」


急に思い出したが、唐揚げ作るの忘れてたわ…

何だか、今起きてる事に頭が追い付かず探索前に買っておいた鶏肉を思い出していた。




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