第32話

普段野ざらしにされている屋上。


当然の如く、雨風によって汚くなっていると思ったが。扉が空いたその先には、丁寧に磨かれて綺麗にされている屋上の姿があった。



「·····誰か使ってるの?」

「用務員さんの仕事のおかげ。相変わらず」


生徒会では、用務員さんが何かをしていたようだ。

何かを思い出したように、首を縦に振り頷く優依。正直、怖くて知りたいなんて言えない。



「さて、お昼だね。弁当、作るの忘れちゃったね」

「あ"……」


そうだ。作ってなかったのだ。

完全に忘れていた。なんで忘れたのかすらおほまえてない、、。



「ねぇ、お昼どうするの?」

「兄さんは罰として10秒チャージね?」

「愛菜は罰として俺が口に含んだゼリーね」

「是が非でもそのお昼ご飯で」


素で返してきた………だ、と?

まさかそんな反応が返ってくるとは夢にも思っていなかったため、フリーズしてしまう。


「早よ付き合ってくれない?見てるこっちのメンタルが・・・」

「申し訳ないけど、俺らは兄妹だ」


優依が冷静に突っ込みを入れてくる、が。表情は明らかに赤くなっている。


「・・・同時に殺気も感じるんだが・・・」

「あ”」

「はいすんませんした優依さん」



優依に深々とため息をつかれた。地味に傷つく反応っ。

だが、こちらに落ち度があるので俺は何も言わずに、神妙な面持ちとやらを顔に浮かべて、沈黙を貫いた。

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