第31話

『ゴンっ!』

「痛っ?!」


気持ちよく睡眠していたら、誰かに思いっきり頭を叩かれて一気に目が覚める。


嫌々ながらも顔を上げると、愛奈が俺を見下ろしていた。じーっとこちらを眺めている愛奈に、驚きながらも机に突っ伏していた上半身を上げる。



「·········どしたの?」

「もうお昼っ!」



··········なぬ。

どうやら寝過ごしたようだ。

さっき机に伏せたのは覚えているけど!そこからの記憶が一切ないのでれ相当深く眠っていたのだと自覚。·····まじか。


腕時計を見ると、もう1時。

ちょうど昼食の時間のようだ。親切にもそれまで起こさないでくれたようだ。俺は嬉しいよ。


授業は、いつも通りつまらなかっただろうから、寝ていても関係ない。放課後愛奈に教えて貰えるなら尚更問題なだろう。

というか、授業をスマホか何かで、録音しておけばもっと手っ取り早いかもしれない。


だが、それよりも。

今は昼ごはんの時間である。





「さてやって来ました!この学園名物屋上でございます」

「普段、鍵閉めてあるけどね」

「流石、生徒会権限」

「私じゃない。優依のお陰」

「そうかしら?」



··········そうだこの人生徒会に居るんだ。


権力の凄さをこうも身近に感じられる人なんてなかなかいるまい。何気なくしている愛菜と優依だが、この2人の権力とやらはすごいと言うことだろう。


そんな俺の心情なんて知らんとばかりに、愛奈は無造作に屋上の扉の鍵を解除した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る