第25話
「あっ、ば、馬鹿っそれはっ…!」
愛奈が手にとったのは一冊の哲学書。
タイトルは『正義とは自らのエゴを押し通す言い訳である』。
横から見たらページ数が1000はありそうな本である。
因みに、重さもそれなりにあり六法全書上下巻両方を抱えてる程度には重い。
が、実は。
その中身は空っぽである。
この間ドン・キ○ーテで1000円で買ってきたのだ。
ページのうち最初の50ページと最後の100ページがしっかり書かれており、それ以外のページはくり抜かれている。
因みに思い原因は表裏の表紙が分厚くその中に金属が入っているからである。
そして、くり抜かれた中には……。
「ふっふっふっ……お宝はっけーん★」
「くっ……」
わざとらしく『今見つけましたよ』みたいな感じを出すのが煽りに拍車をかけている。
そしてわざわざ俺の前で引っ張り出したそれを、ペラペラとめくり始めた。
「ほんとに私に似てるよねー。おっぱいの大きさまでそっくり……。けど、この女の子は茶髪だね」
「………。………、……」
もう何も言えない俺。
恥ずかしながら妹がここまで完璧だと、今まで好きになった人なんて、妹以外だと一人しかいないのだ。
しかも、その人を好きになったのは幼少期だし妹ができてからはあってもなければ見てもない。
実質愛奈以外に好きな人なんていないようなものだ。
……愛奈以上の子っていないものである。
いたらその人が好きになっていたことだろう。
妹が完璧すぎるのも考えものだ。
そんなわけで、妹似の女の子が出てくるのは仕方ないことだと言えよう。
「私も茶髪にしようかなぁ……」
ん?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます