第20話★

 さっき、愛奈は汗をかくと言っていたので、できるだけ事務的に終わらせるべく群れそうな場所を先に攻略していくことにする。


「愛奈、下のところから洗ってくよ?」

「お兄ちゃんの思うとおりにやっていいよ~」


それが困ると言う事を、言わなくてもわかるだろうに・・・。


「わざと困らせてる?」

「楽しいよ?」


・・・質問に感想を返してきたよ。。。

本格的に泣いてもいいかな・・・・・。


しかも、驚くことに、親はこの状況を黙認しているのだ。両親そろって、である。

親がそれでいいのか。いくら、血がつながってないからって・・・。


「お兄ちゃん?ためらう必要はないよ??血は繋がってないんだから合法だし♪」

「・・・はぁ」


俺は諦めて胸に手を伸ばす。

白い泡まみれのぬるぬるな手を愛奈の胸の下側へと移動させる。

そして、胸を持ち上げるようにしながら肌の表面に手を滑らせるように洗う。

指が簡単に沈むのに、ボディソープのせいで滑りやすいから洗うのにも一苦労だと感じた。・・・そう考えていたのは脳のほんの一部だったが。


爪を立てないように注意をしながら手を動かしていく。


「・・・いつもこんなことをしてるの?」

「うん。意外と大変でしょ?」


手伝ってと言った理由が理解できた気がする。

なんというか、手から抜けるのだ。滑りやすくなっているしもともとから抵抗がないほどに柔らかいから、泡まみれになると『ぷるるんっ』と言った具合に抜けるのだ。


爪は立てられないので、仕方なく指に込める力を強くすると愛奈の肩が微かに反応するし、声がわずかに聞こえるし・・・。

いたたまれない・・・。


「うーんと、もっと強くしていいんだよ?洗えないでしょ?」

「・・・は?」


愛奈、自重して。俺が耐えられない。

俺は残りの洗っていない場所をさっさと洗いシャワーをかけてから浴槽へと避難した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る