第21話

「・・・お兄ちゃんの、いくじなし」


愛奈がボソッと何かを言った気がするが俺は何も聞こえていない。

それどころではないのだ。


・・・・・完全に感触が手に残ってる・・・・。

これは後でベッドでじたばたする羽目になるなと、せめて思考を逸らしながら考えた。




愛奈より先に風呂から上がり、部屋着に着替える。

先ほど着ていたシャツである。それを着た上で体の熱を逃がして熱い体を冷ます。

濡れている髪の毛をタオルで乾かす。


・・・にしても、さっきの愛奈可愛かったなぁ・・・。



思わず抱きしめそうになったのは内緒である。

ふと、愛奈の先ほどの姿を思い出してきゅんとしそうになった頭を横に振り忘れようとする。


そのとき、いきなり視界が暗くなった。


「だーれだっ」

「・・・は?」


この状況で愛奈以外の誰かだった場合俺はどうすればいいのだろうか。

軽いホラーである。


「答える必要ある?愛奈」

「ちゃんと答えてくれる兄さんのそーゆーとこ、大好き」

「お褒めに預かり光栄です」


適当である。兄妹なんてこの程度だろう。

視界が明るくなる。愛奈が手を離してくれたようだ。よかった。


そこで軽率だった。

愛奈に小言を言うべく思わず、といった形で振り返ってしまった。

そこにいたのは、裸の愛奈。

そういえば、愛奈に渡されてていた大きなバスタオルは、俺が持ってきてしまっていた。


「あっ・・・」

「引っ掛かったぁ♪」


そこには一切遮られていない愛奈の全裸が存在した。

しかも、お風呂に入ったから体温が上がっているのか、白くて柔らかそうなきれいな肌は赤く火照っていて少なくない色香を放っていた。


にやにやする愛奈に、何も言わないようにして愛奈の着替えを纏めて投げつけた。

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