第16話
なぜなら。
バスタオル一枚の姿をした愛奈がいた。
愛奈は、プロモーションが良いと前々から思っていた。が、出るところは出てそれなのにシュッとした体は、兄妹という壁をぶっ壊して俺の視線を釘づけにするには、十分の力を持っていた。
「兄さん、ガン見し過ぎだよ?」
シャワーで髪の毛を濡らしたのか、いつもの黒く光を反射していた髪の毛は水を含みしっとりとした色へと変化していた。
頭から流れた水は身体を通ったのかバスタオルは濡れており、愛奈の体に張り付いている。
バスタオルの生地自体も薄いのか、薄く愛奈の体が透けて見えた。
と、ここまで確認してから、俺は思い出したように目を愛奈から逸らした。
「別に見ててもいいんだよ?兄さんなら」
「そ・・そーやって誘惑するなっ」
「ふふっ・・・必死なの面白い」
愛奈がいつも以上に妖艶に見える気がする・・・。
指が長くきれいな手で口を隠して含み笑いをした愛奈。何故か可愛いのではなく、美しく感じた。
「髪はこれ以上伸ばしても重いし、綺麗なのを維持するのが大変だから伸ばす気はないんだよねぇ」
俺としてはそれ以上伸ばさなくても・・・。
今の方が好きだし・・・。
「そうなの?なら、このままにしておくね、お兄ちゃん♪」
「っ!」
声・・・出てたのか・・・。
俺は思わず顔を逸らして、ため息をついた。
愛奈は俺と会話をしながらもしっかりと頭を洗っている愛奈。
なんか、俺の方がおさなく感じる・・・。
愛奈は頭を洗い終わったのか、くるくると器用に髪の毛を纏めて髪留めでぱちんと止める。
そして、無造作に、自分の体を隠すために巻いていた白いバスタオルに手を伸ばした。
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