第15話

「っておいっ!!」

「あっバレた」


ちっとも反省した様子のない愛奈の声が後ろから届く。が、振り向けないのが難点だ。


幸いなことに、シャワーから出たお湯のおかげで目の前の大きなガラスは曇っていて愛奈のことは映っていない。・・・よかったようなちょっと残念なような・・・。


「愛奈?俺らは兄妹だぞ?ある程度の甘えなら問題ないけど、それ以上はよくないぞ。あきらかに一線を越えてるよ」

「・・・知―らない♪」


まったくもう・・・。


「背中ならいいでしょ?それに、気持ちいーよ?」

「・・・・・くっ」


俺は、すでに骨抜きにされていたようだ。

まあ、愛奈の腕が良すぎるのが悪いのであって、もっと言うとそれを使って誘惑してきた愛奈が悪いのだ。オレハワルクナイ。


「はあ・・・まあ、背中ぐらいなら・・・」

「ありがと、兄さん♪」


そして、再び快楽が始まることになった。別に、やましいことをしてる訳ないのになんとなく近所に聞かれないほうが良い気がした。




「はい、お終い。背中全体は終わったよ。ほら、前向いて」

「あ、ありがとう・・・って、むかないよ?!」


愛奈め。体洗うのもめっちゃうまいな。もう何も考えられなくなったぞ・・・。

危うく前向きそうになったぞ・・・。って、は?


「兄さん、前も早く洗ってよ。私少し寒い」

「ういっす」


素早く前を洗いシャワーで体を流す。

流石に待たせるのは悪いからな。


さっさと体を流し終えて、俺は浴槽に体を沈める。

水が少しだけこぼれ、『ザァっ』という音がした。

が。


それは俺の耳に届きはしたが、意識にまでは届かなかった。


「え・・・」


思わず声が漏れる。

呆然自失とはこのことなのだろう。だが、それすらも後から気が付いた事実であり、今この時点で自覚したわけではなかった。


なぜなら。

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