第14話
後ろ手に扉を締めながら椅子に座ってシャワーを左手にとり、お湯を出して頭を濡らす。
お湯は湯気を出しながら俺の乾いた頭を濡らし湯気で鏡や周囲を曇らせた。
シャワーの放水音はすぐに周りの音を消し去ってしまった。
シャンプーを手に取り頭を洗い始める。
にしても、今日の愛奈は一段とアプローチ(笑)がすごい……と思う。
普段、そこまで自己主張しないのに今日はやけに甘えてきたのだから、少し心配だ。
疲れてるのかなぁ……?
相談乗ってあげなくては。
泡まみれになり、顔にまで降りてきた泡に反射的に反応して目をつぶる。
『ガラッ』
「兄さん、愛しの妹がお背中を流しに参りましたよぉ」
「!?」
嫌な予感、的中である。
「おいっ……!愛奈ぁ!やめろっ」
「えっ?なんで??別に頭洗ってあげるだけだよ?」
目を瞑ってるから見えないが、キョトンとしている声が頭上から届く。
それと同時に、俺の頭に小さな手が触れた。
「お……よ……?」
「上手いでしょ〜?私自身が敏感だから優しくしないといけないんだよねぇ」
なんか想像の斜め上を行く、達人級の上手さである。優しく、けど指先に力を込めるように頭をマッサージしながら洗う愛奈。
神。
あまりの凄さに思わず挙動不審になるレベルである。
「えっえっえっ?」
「ふふんっ♪」
俺は、今、愛奈が頭を洗ってくれているという事実を忘れこの快楽に浸っていた。
「ん〜、これでいいかな?流すよ〜」
「あっ……はい」
「兄さんどうしたの?」
愛奈が含み笑いをしながら、わかりきった質問をしてくる。惚けてる理由なんてわかるだろ……。
「それじゃ、体も洗ってあげるね〜」
「ん?あ、あぁ……」
そして、夜は更けていく。
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