第12話

はい、やってまいりました。

空の王者希少種、討伐でございます。


「とりあえず、ジャンプして遊んでるわw」

「ちょ、お兄ちゃん!?」


愛奈が俺の上で、じたばたしながら「だばだばだばだばっ」と騒いでいる。

・・・愛奈、だばだば、しないで。


「むーっ!くらえーっ!!」

「うおっ!?」


頬を膨らませながら、愛奈が俺を巻き込んでなんか必殺技みたいなのを放ってきた。

ってか、完全にいまの俺を狙ったろ・・・。


「無駄撃ちするなー!」

「お兄ちゃんが悪いーっ!」


まさかの兄妹のケンカが始まる。

だが、かわいそうなことに、それに巻き込まれてぼっこぼこにされているのは、ゲーム内の大型モンスターこと、リ〇レウスである。


「尻尾はもらうぜっ!」

「あーーーっ!ずーるーいー!」


愛奈が俺に全力で体重をかけてくる。が、愛奈のお尻の柔らかさしか感じないのが愛奈の一番の問題だろう。


「お兄ちゃん、頭もっらいー!」

「てぃ」

「あぅ……」


上目使いで挑発してくる愛奈をでこピンして放置。


「そろそろ倒せるかな?」


ボタンを『ガチャガチャガチャガチャッ‼』と鳴らしながら、愛奈が呟く。


 ぼーっと何かを考えている表情と、高速でガチャガチャする手と指の動きが物凄く不釣り合いで、不覚にも笑ってしまいそうになった。


「まぁ、もうそろそろかなぁ……」

「はよ、はよ、装備、ほしいっ」


楽しそうに上半身を揺らす愛奈。

可愛いのである。

その可愛い態度と裏腹に、ものすごい速さで操作されるキャラクター。

なんかすごいギャップを感じる……。


そんな感じであーだこーだと騒いでる内に。


「おっ?」

「あっ、倒せたっ!!」


いつの間にか、リオレウ○希少種は倒せたのだった。



「やったぁぁ!!」

感極まったのか、ゲーム機を放り投げて俺に抱きつく愛奈。


『ぎゅゅゅう』としてくるので、柔らかい胸も潰れすごいことになる。


「ってか腰に抱きつくなっ!絵面がやばいんだよっ」

「………?」


何を言っても聞かない愛奈ちゃんであった。

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