第7話

「兄さん、ご飯冷めちゃうよ?」

「ぐっ………」


いつの間にか着席してる愛奈。

完全に手のひらの上のようだ。なんとなく悔しさがあるものの、反撃することが全くできない。


むしろ、今は反撃したら俺が負けることを理解しているのだ。



「ふふっ♪兄さんって、こーゆーとこ、素直でかわいーよねぇ」

「ぐぅ……楽しそうで、なにより……」

「楽しーよぉっ♪もうきゅんきゅんしちゃうぐらい!」


愛奈はもうにやにやを隠そうともせずに、俺の顔を覗き込んてくる。


 俺は懸命に目をそらそうとするが、確実に目に入ってしまうポジションを愛奈に取られているので、見えてしまう。


そして、さっきの感触が蘇ってしまう。


筆舌に尽くし難い、としか形容のできない例え方のない柔らかさと、甘い匂い。

思い出すだけでも、確実に俺の理性を崩しにかかってくる。


「兄さん、今思い出してるでしょ。いつでも触っていーんだからね?」

「うぐっ……するわけない……だろ…、」


「ふぅん…、なら、なんで私の胸さっきからチラチラ見てるんだろ〜なぁ?」



!?



自分でも自覚していなかった……。

ぐぅ……やっぱり男という根底の部分には逆らえないのか……。


こうやって世の男性は手玉に取られるのか……。


そう思いながら、鋼の意思で箸を手に取り残り少ない料理を書き込むように食べた。


愛奈はその様子を、にやにやと。

でも、幸せそうに、嬉しそうに俺を眺めていた。

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