第5話
「兄さん、今私の胸見たでしょ」
「・・・」
再び俺の思考が停止する。
妹がにやにやする気配がする。いかんせん自覚がある為、俺自身として否定できないのだ。いや、否定するつもりはないのだが。
「兄さん、そうやってほかの人を視姦しちゃダメだよ?私は別にいいけど。それとも触ってみる?これ。意外と重いよ?」
「ガフっ・・・」
危うく死ぬところである。
オーバーキルにもほどがあるよ、愛奈たん。
今更感はあるが、愛奈は身体的に優れている。前に聞いた話だと・・・いや、思い出さないでおこう。また目がそっちに行ってる。
「兄さん、2度目」
「これはもう、男としての
「悲しいね、それ。でも、触ろうと思えば・・・というか手を伸ばせば届くのに、なんで出さないの、手」
多重クリティカルヒット。俺でなければ死んでいた。
いや、すでに酸欠気味ではあるのだが・・・。
「あ、でも。兄さんが想像している以上に柔らかいと思うよ、これ」
「それ以上、は、なんも言うな・・・死ぬぞ・・・・・俺」
俺がそう呟くと、妹は「ふうん、ふふっ♬」と言いながら隣の席から立ち上がって離れてくれた。
良かった。これ以上攻撃されていたら、防壁を築く依然の問題として死んでいたわ・・・。
・・・椅子を引く音が案外と近くから聞こえる。
先ほど席を立って、椅子は元のように仕舞っているはずだから、対面のさっきまで座っていた椅子の音だと思うが・・・。
やけに嫌な予感がする。
ので、顔を上げる。
すると、驚いたことにさっきまで座っていた正面の席にも今居た隣の席にも愛奈は居ない。それどころか、気配が部屋から無くなっているではないか。
「・・・・・?」
思追わず首をかしげる俺。
それは、まさしく油断だった。
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